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週刊現代 動物

あの動物の輸送に欠かせない「パンスト」の威力

履かせるのには一苦労

試行錯誤の末に

細長い首に、これまた木の枝のように細長い脚。ピンク色の羽根に身をつつみ、水辺で片脚を折り曲げて浮かせ、もう片方の脚だけをピンと伸ばして立っている―。

こんなフラミンゴの姿を、誰しも一度は動物園で見たことがあるだろう。

野球の通算本塁打数世界記録保持者・王貞治の一本足打法が、別名「フラミンゴ打法」と呼ばれるのは、打席での立ち姿がこのフラミンゴにそっくりだからだ。

ただし、同じ片脚立ちでも、どっしりと構えて微動だにしなかった王とは違い、実際のフラミンゴはとにかく落ち着きがない。一度脚を下ろせばあっちをウロウロこっちをウロウロ。

これに困ったのが、フラミンゴを飼育している動物園だ。車に乗せて輸送しようにも、狭い空間に興奮して暴れてしまい、体を傷つけてしまう。群れをなして生息する動物だけに、一匹が暴れだすとなんとも厄介だ。

どうにか安全にフラミンゴを移動させられないものか。試行錯誤のすえに見出された苦肉の策が、女性用のパンティ・ストッキングで、フラミンゴを拘束する方法だ。

 

まず、パンストを片脚ずつに切り離し、さらにつま先を切り落としたものを用意する。そこに、フラミンゴの翼と脚を折りたたんで入れ、首だけが出るようにするのだ。こうすることで、フラミンゴが体を傷めないだけでなく、体力の消耗や、綺麗な羽根が落ちてしまうことも防げる。

ちなみに、首も脚も長いフラミンゴにパンストを着せるのは一苦労。

暴れるのを数人がかりで押さえ、頭からかぶせていく。大の大人が一匹の鳥にかかりきりになっている姿は、眺めているぶんには微笑ましいが、とても骨の折れる作業だ。

他方、移動中はいっさい体を動かせないフラミンゴも気の毒だが、パンストが登場するまでは木綿製の固い袋に入れて輸送していたため、体を傷めてしまうことが少なくなかった。

肌触りの良いパンストの導入で、フラミンゴもいくぶんか快適に旅することができるようになったのだ。(岡)

『週刊現代』2018年5月26日号より

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