不正・事件・犯罪

スルガ銀行「謝罪会見」で明かされなかった重大なこと

結局、不正はあったのかなかったのか
伊藤 博敏 プロフィール

完全に「型にハメられた」

2坪強の狭い個室にキッチン、台所、浴室などを共用するシェアハウスは、いずれも1億円内外の投資案件だが、本来、物件に見合う年収のオーナーを探すのは容易ではないハズだ。ところが、販売業者は、楽々と融資基準をクリアするオーナーを用意。それは次のようなカラクリである。

「オーナーを融資基準に合わせるんです。年収700万円の人には8000万円の案件、1000万円の人には1億2000万円の案件とかね。そのうえで利回り計算をして家賃を設定。8%、30年の家賃保証という形で、条件に合ったオーナーに売り込む。

その基準内で、土地売買に絡み、間に入って中抜きをしたり、建設会社にキックバックさせたりする。それで、銀行もオーナーもスマートデイズも販売代理店も満足するというスキームです」(販売代理店関係者)

冗談ではない。「満足する」のは、最初だけである。「逆算の家賃」が高額になるのは自明で、それが入居率の低下につながり、「中抜きやキックバック」といった不労所得での埋め合わせも出来なくなって、やがて倒産に至る。5年で1200億円というスマートデイズの無茶な数字がそれを物語る。

これは、スルガ銀行、スマートデイズなど家賃保証一括借りのサブリース業者、販売代理店が、一体となってオーナーを騙した事件である。

「型にハメる」というのは、事件屋、詐欺師などの典型的な手口。ターゲットに近付き、いい思いをさせて契約を結ばせ、身動きが取れないようにしたうえで収奪する。

シェアハウスで「30年の家賃保証」という夢を見させ、物件を用意、審査書類を偽造、改ざん、融資をつけさせた業者は「型にハメた」詐欺師だが、スルガ銀行はどうか。

偽造や改ざんを、スルガ銀行の幹部や行員が、「黙認」していただけでなく、積極的に「誘導」していれば、詐欺への加担は免れない。また、問題は、スルガ銀行にはシェアハウス以外の事例もあることだ。

アパートローンや中古マンション融資などでも、同じような不正が発覚しているし、かつてはデート商法でマンションを売りつけていたブローカーや業者もスルガ銀行を利用していた。

 

法人向けから個人向け融資に軸足を移し、融資残高を急激に増やし、他行がうらやむ3・6%の貸出金利回りを実現、三菱UFJ銀行やみずほ銀行を上回る高給与の秘密は、違法を呼び込む「スルガスキーム」にあった。

スルガ銀行といえば、創業家の岡野光喜会長が、30年以上トップに君臨、「前例のないことへの挑戦」を、常々、行員に呼びかけ、それがアグレッシブな姿勢に繋がっているのだが、会長は会見に姿を見せず、「私がマネジメントを担当しているので」と、米山社長が130分にわたって説明、経営責任については、「まずこの問題にケリをつけてから」と、言葉を濁した。

「スルガスキーム」を主導した役員、支店長のなかには、犯罪への積極関与を指摘される幹部もいる。そうなればスルガ銀行は、銀行の融資姿勢だけでなく、刑事罰を問われる可能性があり、銀行自体の存続に関わる問題に発展することになるだろう。