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「飲食店経営で地獄を見た」漫画家が古民家経営に成功した理由

ポイントは「ローコスト」「ローリスク」
折原 みと プロフィール

「無理をしない」経営

読書家の姉や義兄の蔵書が山ほどあるので、その一部を古民家に移してブックカフェに。と言っても、月にたった4回しか営業しないという趣味の気まぐれカフェだ。月1回は、元・国語教師の姉が、近所の奥様方などを集めて大人の寺子屋のような「国語の会」を開く。
 
他にも、ヨガの教室やお茶会、個展のギャラリーとして貸したり、知り合い限定で簡易宿として提供したり。子育てサークルのお母さんや子供たちの集会所としても使われるようになった。
 
あくまで趣味の範疇なので、使用料も宿泊料も格安。教室や会合などは使用料1日1,000円。個展やコンサートの使用料は1日2000円〜5000円、宿泊素泊まり2000円。ブックカフェはコーヒー1杯300円で、一日中いてもかまわない。

最初は、友人知人だけが訪れていた田んぼの真ん中の古民家カフェ。だが、口コミやネットの情報などを見て次第に一般のお客さんもポツポツとやってくるようになり、なんだかんだで月に1~2万円くらいの収益は上がるようになった。
 
一方、古い家をあちこち手を入れて再生し、人が集まるようになって活気が出たのを評価してもらえたのか、太っ腹な大家さんが、家賃を年間12万円に値下げしてくれた。月1万円!ということは、なんと、古民家の収益金で家賃と光熱費が賄えてしまうようになったのだ。

 

かつて、高原のカフェ経営で失敗した私は、「素人が飲食店経営に手を出すのなら、大きな投資は厳禁。儲けを出そうとは思わず、リスクのない、身の丈にあった形でやるべき」という結論に達していたが、奇しくもこの古民家の在り方は、その理想の経営形態と一致する。

安い家賃と維持費。人件費は無料。

メニューはコーヒーのみなので、手間がかからない。たまに、姉の家で採れたブルーベリーや梅などでお菓子を作って出すが、食材費はタダ同然な上に、採れすぎて余っているものを消費するのにちょうどいい。

そもそも気まぐれカフェという触れ込みなので、都合の悪い日には休んでしまう。一応、ネットで営業日のお知らせはしているが、お客さんも、開いていればラッキーな「幻のカフェ」くらいに思っているようだ。

とにかく、ローコスト、ローリスク儲かりもしないが損もしない無欲の勝利というわけだ。

この古民家の場合、家賃と維持費くらいを稼げればいいというスタンスなので、カフェは月4回のみの営業、レンタルや宿泊も知り合い限定、あえて宣伝もしていない。が、このあくまで「損をしない」方式を基本として本気で古民家の活用やカフェ経営に臨めば、大きな儲けにはならないとしても、ある程度の利益を出すことは可能だろう。

料理や接客が好きで、飲食店経営に憧れる方は多いと思うが、かつての私にように、素人が大きな投資をすると大抵は失敗して地獄を見ることになる。だが、こんな堅実な形であれば、憧れの飲食店経営も夢ではないのだ。