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妻の「朝の準備が遅い」のは、夫のせいである「これだけの理由」

凸凹夫婦の家庭改革メソッド【1】

現代ビジネスの好評連載を書籍化した『されど愛しきお妻様』、おがけさまで4刷重版達成しました! 読者の皆様やメディアからも好評なのですが、正直、著者や編集部としては「奇跡の夫婦の物語」と捉えられてしまったことが残念です……。と同時に、もっと実践的な内容も盛り込めばよかった、と反省。というわけで、どんな「すれちがい」のあるご家庭にも応用可能な超・実践的スピンオフ連載が始まります!

遅刻や忘れ物は「僕にも原因があった」

朝いちばんから所用のあるお妻様を助手席に乗せて、渋滞も始まる前の早朝の道を快調に走る。助手席から聞こえるお妻様の「あ」の声に、(来やがったな)と思う。

「なに忘れたの?」

「あー、スマホ忘れたわー。今日のあたしはスーパー駄目駄目だ」

インパネの時計を見れば、お妻様が出かける準備を終えて車に乗り込んだ時点で、あらかじめ伝えていた「予定に間に合う出発時間」を10分過ぎていたし、ここから自宅に戻って再出発すれば時間のロスは30分。つまり目的地にたどり着くのは予定の40分遅れということになる。

「オーケー、じゃあ1回家に戻りまーす」

適当な道に車を突っ込んで展開する僕に、お妻様は不審な表情で問い返す。

「戻るんか!?」

「だってスマホなかったら、1日色々困んだろ? 別行動もしづらくなるし」

「ごめん……。じゃー戻ってくれる?」

「謝んなくていいよ。俺も悪いから」

「え?」

鈴木さん家の車(写真:著者提供)

お妻様、まだ「この環境」に慣れないのも、仕方がない。なぜなら急いで出かけなければならないタイミングでのこの忘れ物というのは、お妻様と暮らして19年というもの、毎度のように起きて来たことだし、その都度僕はお妻様にクドクドと文句を言い続けて来たからだ。

けれどももう、文句は言わない。なぜなら今日は、いや、これまでもほとんどの場合でも、お妻様の朝の遅刻や忘れ物は「僕にも原因があった」のだと、今の僕は思っているからだ。

 

だから、やっぱゴメンなのである

僕のお妻様は大人の発達障害さんで、彼女には注意障害がある。子ども時代から約束の時間というのはまず守れななかったようだし、そもそも時間通りに行動するというカルチャーそのものがすっぽ抜けている。

忘れ物も日常茶飯事で毎度毎度似たようなものを忘れるから、家の中には出先で買い足した忘れ物である「同じ銘柄の日焼け止め」とか「使いかけのマスク」とか「ひとつだけ使ったホッカイロ5個入の4個」とかが、あちこちに散在している。

だが、この出かける時間が守れなかったり忘れ物が多いのは、注意障害の特性として「作業や思考中に横からなにか注意を引く何かがあると、そちらに注意を持っていかれて今やるべきことがすっぽ抜けてしまう」からだ。

ではさて。そんなお妻様に今朝の僕は何をしただろう。

そうだ。持ち物の準備をしているお妻様に、僕は「今日から◎◎の映画が上映開始するから、明日の夜に観に行こうぜ~。劇場でフライヤー集めるなら、この間ダイソーで買ったフォルダ出しときなよ」なんて声をかけた。

持ち物の準備をしながら寝ぼけ眼のお妻様が無意識にテレビのニュースチャンネルをつけるのを、「朝の準備中のテレビはやめとこうね」とスイッチオフしてやれなかった。

思い起こせば、そもそもお妻様が朝に弱いのを知っていながら、前夜は僕自身の持ち物準備だけさっさと終わらせて、先に寝室に入って寝てしまった。

何を持っていくか考えているお妻様に無駄な声をかけるのは妨害以外の何ものでもない。作業中にテレビがついているとお妻様は必ずミスを起こすのを僕は知っている。パートナーに明らかに苦手なことがあるのが分かっていて手伝わないのも、夫としてはいかがなものか。

だから、やっぱゴメンなのである。