〔PHOTO〕gettyimages
防衛・安全保障 国際・外交 世界経済 日本 中国 韓国

中国・李克強首相が初来日で日本に求めたこと「全文公開」

日中首脳会談110分を読み解く

3泊4日の初滞日

先週5月8日から11日まで、李克強首相(62歳)が来日。日中韓サミットに参加し、合わせて公賓として東京と北海道を訪問した。

2013年3月に首相に就き、今年3月に再選されたので、任期は2023年3月までだが、1期目には来日しなかった。そのため、首相として来日したのは、6年目にして初めてだ。ちなみに、習近平主席も2013年3月の就任以来、一度も来日していない。

 

李克強首相の滞日スケジュールは、以下の通りだった。

5月8日の夜7時過ぎに、中国首相専用機で羽田空港に到着。翌9日は、午前10時から、迎賓館で日中韓サミットに参加。午前11時15分から、共同記者会見。昼は経団連会館で、日中韓ビジネスサミットに参加した。

午後は、4時から迎賓館の前庭で歓迎行事に臨み、続いて屋内に入って、4時15分から6時5分まで安倍晋三首相と日中首脳会談を行った。その後、各種署名式と、共同記者発表を行った。夜は、7時5分から8時半すぎまで、安倍首相主催の歓迎晩餐会に臨んだ。

翌10日は、朝から衆議院で大島理森衆議院議長と会見、続いて参議院で伊達忠一参議院議長と会見。その後、皇居に移って天皇にご引見。そこからホテル・ニューオータニに移動して、日中平和友好条約締結40周年にゆかりのある人たちとの交流。同じく中国文化展示会の観覧。昼は40周年記念のレセプションに参加。午後は、与野党の幹部たちとの個別の会見を行った。

夕刻には、首相専用機で北海道へ移動。札幌パークホテルで、高橋はるみ北海道知事と会談し、夜は高橋知事主催の歓迎晩餐会に臨んだ。

翌11日は、午前9時半から、日中知事省長フォーラムに参加し、それが終わると苫小牧にあるトヨタの工場を視察した。最後は、恵庭市にあるテーマパーク「えこりん村」で、東京から駆けつけた安倍首相主催のランチとなり、それを終えて札幌から帰国の途についた。

こうして、慌ただしくも充実した3泊4日のスケジュールの日本訪問を終えたのだった。

〔PHOTO〕gettyimages

日中韓「共同宣言」の中身

今回の李克強首相訪日のハイライトは、9日に開かれた日中韓サミットと、日中首脳会談である。

まず、日中韓サミット終了後、ずいぶんと経って深夜に発表された「共同宣言」の主な内容は、以下の通りだ。

・3ヵ国合計で世界のGDPの2割以上を占め、世界の繁栄に向けた道筋を示す役割を認識する。
・2018年の平昌、2020年の東京、2022年の北京と続くオリンピック・パラリンピック・リレーで、3ヵ国協力を発展させていく。
・3ヵ国間の人的交流を、2020年までに3000万人にする。
・成長を達成する上での自由で開かれた貿易及び投資の重要性を認識する。経済の自由化、あらゆる保護主義との闘い及びビジネス環境の改善に引き続きコミットする。WTO(世界貿易機関)によって確立された、ルールに基づく、自由で開かれた、透明性のある、無差別的で、包摂的な多角的貿易体制を強化するために共に取り組む。
・日中韓FTA(自由貿易協定)の重要性を再認識し、交渉を加速すべく一層努力する。
・RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の妥結に向けて、交渉を加速すべく一層努力する。
・日中韓特許庁長官会合を含む3ヵ国知的財産協力の重要な役割を認識する。
・新しい経済価値の時代における電子商取引の重要性に照らし、相互利益に基づく電子商取引に関する実務的な協力が3ヵ国の利益になるという見解を共有する。
・健康及び高齢化社会といった人間の安全保障に関する共通の課題に対して共同で対処することの重要性を強調する。
・医療サービス産業及び遠隔医療における協力を拡大する。高齢化に関する日中韓政策対話を開催するために取り組みつつ、高齢化に対応し、健康的な加齢を促進するための情報及び政策を積極的に共有していく。
・5Gモバイル通信及び国際ローミングを含む情報通信分野における協調の重要性を確認する。
・パリ協定の完全な履行に向けた強いコミットメントを改めて強調する。
・「3+1」モダリティ(共通に適用される取り決め)を探求し、開発経験を共有し、さまざまな分野における実務協力を深化させる。
・われわれは、朝鮮半島の完全な非核化にコミットしている。われわれは、朝鮮半島及び北東アジアの平和と安定の維持は、われわれの共通の利益かつ責任であることを再確認する。われわれは、関係国の諸懸念に関する、関連国連安保理決議に従った、国際的な協力及び包括的な解決によってのみ、北朝鮮にとって明るい未来への道が拓けることを強調する。
・中華人民共和国及び大韓民国の首脳は、日本と北朝鮮との間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する。
・大阪で開催される2019年のG20サミットを含むG20などの枠組みにおいて具体的かつ成功裏の成果を導くために一致協力して取り組んでいく。
・2020年までに東アジア経済共同体(EAEC)を実現するという構想を含む構想の進捗に留意する

以上である。以下、簡単にコメントしていきたい。