北朝鮮

米朝会談が6月12日に設定された「重大な意味」を読み解く

こんなサプライズがあるかもしれない
髙橋 洋一 プロフィール

シンガポール開催の意味

さて、今回のアメリカのイラン核合意の離脱は、イランとの関係が歴史的にも経済的にも強い欧州国家にはショックであろう。

日本は、安倍首相の中東歴訪で、イランには寄らずにイスラエルを訪問した。これは国際社会からみれば、アメリカ寄りのスタンスであり、欧州とは異なっている。

日本は中東においてこれまで独自の歩みをしてきたことから、この外交方針を懸念する声もあるが、北朝鮮問題を目の前に控えているので、恒久的・検証可能・不可逆的な非核化をアメリカとともに求めるためにはやむを得ないだろう。

 

トランプ大統領の従来の外交ルールを無視した破天荒さは、結果として、北朝鮮の金正恩氏をかなりビビらせている。10日、米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで開催されることが、トランプ氏のツイッターで明らかにされた。

北朝鮮は、平壌やモンゴルのウランバートルを開催地として希望していたが、それはかなわなかった。シンガポールは、形式的には関係各国との等距離外交を志向してきた国である。アメリとも北朝鮮とも友好的な関係であるので、米朝首脳会談の開催地としてふさわしい。

ただし、シンガポールは、経済では中国との結びつきが強いが、安全保障ではアメリカと近く、準軍事同盟国になっている。同国のチャンギ海軍基地を米軍が使用する協定が結ばれており、米空軍機も定期的に来ている。そうしたシンガポールに来ざるを得なくなった金正恩氏は「敵地」に赴く感覚だろう。

金正恩の専用飛行機が旧式で航続距離が短く、シンガポールはギリギリの距離、というのも気がかりだ。北京に行き、習近平主席とともにシンガポールに行くという冗談みたいな話もでている。

6月12日というセッティングも絶妙だ。当初は5月中とされていたが、アメリカの主導で設定されたのだろう。というのは、その直前の6月8、9日にカナダで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議があり、西側先進国は一致団結して北朝鮮の恒久的・検証可能・不可逆的な非核化を求めるだろうからだ。

一方、中国を中心とする上海協力機構(中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタンの8か国による多国間協力組織)の首脳会談は、中国の青島で6月中に開催、とされている。おそらく、6月12日の前に、上海協力機構も首脳会談を開かざるを得なくなった。その場で、北朝鮮の上海協力機構への加盟というサプライズもあるかもしれない。