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国際・外交 北朝鮮

「北朝鮮情勢楽観論」をどうしても容認できない理由

あくまでシビアに接するべき

北朝鮮の態度が豹変している。南北首脳会談や、米朝首脳会談に向けた協議もあり、少なくとも表面的には、北朝鮮の強硬姿勢が後退し、核の放棄に向けた議論が進展するかもしれないとの見方も増えているようだ。

はっきりしてきたことは、米中からの圧力や制裁を受けて、北朝鮮がかなり追い込まれていることだろう。金正恩委員長は、自らの立場、体制の維持に危機感を募らせている。

この状況を活かし、国際社会は完全かつ検証可能な核放棄に向けて議論を進めなければならない。それができないと、体制を立て直す時間を北朝鮮に与えることになるだろう。

北朝鮮にとって核兵器の保有は、体制維持のための命綱である。本当に、金委員長が核を放棄するとも考えづらい。過度な楽観論は冷静な判断を妨げかねない。

 

韓国が仕掛ける「ほほえみ外交」

北朝鮮の態度が核開発を重視した強硬姿勢から、対話を優先する融和的なものに豹変している。それを受けて、表面的には、北朝鮮問題が解決に向かうとの楽観論が増えつつある。楽観論を大きく高めた要因は、韓国の文大統領が北朝鮮と、二ヵ国での首脳会談を開催したことだろう。

文大統領にとってこの会談は、北朝鮮との融和策が進行していることを有権者にアピールする重要な機会だった。

文大統領はノーベル平和賞を受賞するにふさわしいとトランプ大統領を持ち上げるなど、浮かれ気味だ。その行動様式が、北朝鮮が対話を通した状況の打開を求め、引き換えに非核化を進めるという憶測を高めていると考えられる。

文大統領は、北朝鮮の真の狙いを理解していない。金日成、金正日の時代にも北朝鮮は韓国にほほえみ外交を仕掛け、米国には対話を求め、核の放棄を宣言した。それは、目先の窮状を凌ぐ演技だった。その都度、核放棄への宣言は放棄されてきた。

北朝鮮にとって重要なのは、核攻撃力の脅威を米国に突きつけ、引き換えに金一族の独裁体制維持への確約を取り付けることだ。その考えは今後も変わらないだろう。

それに加え、今回の北朝鮮の動きを見ていると、中国との関係が重視されている。これまで金委員長は中国からの忠告を聞き入れようとはしなかった。昨年下旬から、中国が金独裁体制崩壊後の状況を見据えた対応を進めたことが、同委員長の危機感を強めたのだろう。

3月に続けて5月も、金委員長が中国の習近平国家主席と会談したことを見ると、北朝鮮は対中関係を修復し、庇護を得るために表向きの態度を改めたと考えられる。

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