人口・少子高齢化 週刊現代

『極上の孤独』が売れる理由~「孤独」は害をもたらすものではなかった

下重暁子さんにインタビュー
下重 暁子

―新著『極上の孤独』の中では、会社を定年して暇を持てあましている人々に対しても、「もったいない」と発想の転換を提案しています。

定年後は、いちばん自由に、自分らしくなれる年代じゃないですか。漫然と過ごすなんて、本当にもったいない。

人間、その気になれば何だってできるでしょう。趣味を活かしてもいいし、ボランティアでもいい。足かせがなくなったのだから、恐れず、一歩踏みだしてみるべきなのです。

 

大企業に勤めていた私のある友人は、定年後に一念発起して植木屋さんになりました。現役時代からずっと持ち続けていた夢だそうで、しっかり修業していまは次々と仕事が舞い込んでくるそうです。

「やりたいことが思いつかない」なんて、絶対に嘘。多感だった中学生、高校生のころをじっくり思い出してみれば、熱中したことがかならずなにか見つかるはずです。「いまさらこの年になって」なんて尻込みせずに、どんどん挑戦してみたらいいんです。

―いわゆる「熟年離婚」のような夫婦仲の問題にも、「孤独」が重要な意味を持つと語られています。

結局、現役時代の生活をひきずり、我慢を続けるから、積もり積もって爆発するのです。

子育てが終わって夫婦二人きりの生活になったら、思い切って寝室を分けてしまえばいい。そうすれば、ひとりで過ごす時間、自分だけの時間を持てるようになります。

我が家でも実行しているのですが、夜中にひとりで音楽を聴いたり本を読んだりするのが、私にとって至福の時間になっています。

結局、夫婦だからといって、いつも一緒に行動することに縛られる必要はないのです。お互いに「個」に戻れば、ふたたび相手を尊重しなおすこともできるでしょう。

年を取るということは自由になること。たったいちどの人生、本当の自分を知ってあげなければ、かわいそうじゃありませんか。(取材・文/伊藤和弘)

『週刊現代』2018年5月19日号より