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海外旅行で骨折したら、目玉が飛び出るほどのおカネがかかった話

登山大好き編集者が実体験を語る
花房 麗子

入院費用は1日15万円

「保険会社の名前を言っておいたのは大正解ですね」

と、後日シドニーの友人から言われた。プライベート保険がないとなれば、緊急手術などの処置も後回しにされたかもしれないというのだ。そうなったら日本にも戻れず、手術待ちで超高い入院費用を払い続けなければならなかった。

その入院費用だが、1日1586ドル(1豪ドル=92.7円で計算)。14万7022円だ。

これには薬代、手術代、X線検査などの検査費用は含まれていない。純粋な病床代だけで15万円近くもする。

術後の病床は2人部屋で、相部屋は91歳のアボリジニのエミリーおばあちゃん。娘さんとおぼしき女性がマットレスだけを敷いて24時間付き添っている(じつはエミリーさんは英語が話せないので、娘さんが通訳がわりでもある)のだが、彼女もやっぱりこんなに払っているんだろうか。見舞いにきていた孫息子がワラビーズ(ラグビー豪州代表)か何かのスターっぽかったので、払えるのかもしれない。

手術が終わったものの、人生初骨折だったこともあって、いったいどれぐらい入院するものなのか皆目わからない。が、ドクターが翌日やってきて、金曜日まで様子を見ようと言ったらしいことはわかった。

その日、旅行会社にもメールした。帰国便などがキャンセルになったわけだが、ではどのようにすれば帰国できるのかを聞きたかった。金曜日になれば何らかの目処がたつのでは、とメールすると、翌日「一番いいのは、ダイナースに帰国の手配をお願いすることだと思います」というメールがきた。

「カンタス航空は事故発生48時間は傷病者を乗せない規定があり、かつ1週間以内まではドクターによる帰国条件についての書類要求もあるようです。ダイナースのようなしっかりしたカード会社はこういうケースも慣れていますので、そちらにご相談するのが一番かと」

旅行会社なのにとも思ったが、非常事態である。またダイナースに連絡、パスポート写真をスマホで撮ってメールする。ついでに病床脇についている電話番号も撮影して送っておいた。

 

エコノミーでは帰れない

様子を見ようといった金曜日がやってきた。ドクターの感じでは悪くなさそうだ。48時間は安静にして、それから退院を検討しようということらしい。英語がすべてはわからないので、推測なのが情けない。

夕刻、ダイナースの特約である東京海上の現地代理店P社から、ナースステーションに連絡が入った。

「弊社のドクターがそちらのドクターともお話しいたしまして、骨折の具合も確認いたしました。これから帰国に向けてフライトの諸条件を探ってまいります。またご連絡いたしますが、何かあればこの電話番号に。24時間対応しております」

骨折の具合を医療用語で確認してくれた日本人がいるというだけで、安心感がどっと襲ってきた。翌日、また連絡があった。

「病院ドクターの見立てでは月曜日に退院可能、搭乗許可はその翌日なら出しますとのことでした。さらに詳しい状況を伺いましたところ、弊社ドクターの意見としては、エスコートナース(付き添い看護師)同行にての搭乗が望ましいと。なお帰国はエコノミークラスの席ではスペースの問題から厳しいため、ビジネスクラスとなります」

またどっと汗が出た。医療費上限は300万円だったはず。全然越えてしまう。エスコートナースは絶対に必要なのだろうか。

「ご安心ください。お客様のカードには300万円の医療費とは別に400万円の救援費用がついております。エスコートナースの費用はそちらで十分にカバーできます」

救援費用? そうか、そんなありがたい条項があったのか。怪我をしてみないとわからないことって本当にたくさんあるものだと痛感した。高度、気圧の変化で足が痛み出したらどうしようと不安に思っていたので、天からの声のように聞こえた。

ただし、エアーズロックからアリススプリングスまでのドクターヘリは救援ではないため、医療費の範疇になるという。

そういえば、アリススプリングス行きのヘリに乗り込む時に、1650ドル(15万2955円)をクレジットカードで支払い、invoiceを貰っていた。当初、呑気に「これがヘリ輸送費かぁ」と思っていたが、本当はエアーズロックからの救急車代とリゾートの診察台に寝転がされていた時の診察代だったのだ。

エアーズロックからアリススプリングスまでのドクターヘリ代金は後日、請求書が海を渡って我が家まで届くことになっている。

「1万ドル前後だと思います」

と保険会社から連絡がきた。