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マライア・キャリー「双極性障害」告白から見える精神医学の風景

「病気の売り込み」とは何か?
美馬 達哉 プロフィール

子どもの双極性障害

さて、こうした考え方が深読み過ぎる陰謀論に過ぎないならそれで良いのだが、そうとも思えない事情がある。

米国発で子どもの「双極性障害」が流行病のように増加しつつあるという話があるからだ。

とくに10歳以下での双極性障害が急増して、1990年代から2000年代までに未成年の患者数が40倍になったという。

 

しかも、その躁状態の症状はといえば、ティーンの子どもの情緒不安定やかんしゃくのことなのである。

かんしゃくを起こす子どもが発育期間ずっと、脳に作用する強力な抗精神病薬を飲み続けるというのは、ちょっと考え物ではないか。

〔PHOTO〕iStock

かつて精神科診断マニュアルを作成する責任者でもあった精神医学の重鎮アレン・フランセス博士でさえも、現在の診断基準を公然と批判して「製薬企業の誇大宣伝に洗脳された医師や親や教師に対する啓発キャンペーン」によって「小児双極性障害に敢然と立ち向かう方が賢明だった」とまで主張している(『<正常>を救え 精神医学を混乱させる DSM-5への警告』)。

病気を使った薬のマーケティング(「病気の売り込み(疾患喧伝)」と社会学では呼ばれる)を見抜く情報リテラシーが求められている。

(ただし、ここでの主張は「双極性障害の治療はすべて間違っている」という趣旨ではないので、現在その診断で治療を受けている人は疑問があれば、まず主治医に相談してみてもらいたい)