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海賊版サイト遮断を「言論統制」につなげないために必要なこと

あの組織を復活させてはどうか

憲法違反説は空論

NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTぷららのNTTグループ3社は先週月曜日(4月23日)、それぞれ準備が整い次第、アニメやテレビを掲載している3サイト(漫画村、Anitube、Miomio)へのアクセスを遮断するサイトブロッキングに着手すると発表した。

政府の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議がこれらのサイトを知的財産権を侵害する「海賊版サイト」と認定、民間のインターネット接続業者に対し、「法整備が行われるまでの臨時かつ緊急の措置」として自主的対応を促したことに伴う措置だ。

サイトブロッキングを巡っては、学者や事業者の間に憲法が保証する「通信の秘密」を侵すとの批判が根強く、評価が真っ二つに割れている。ちなみに、筆者は、今回の措置はやむを得ないと考える立場だ。後述するが、「憲法違反説」は空論で、これ以上の違法行為の横行を放置するわけにはいかない。

しかし、「臨時かつ緊急の措置」が長引けば、時の政治権力による言論統制が恒常化しかねない。

ここは、政府が戦後すぐに廃止してしまった通信・放送分野の独立行政委員会「電波監理委員会」のインターネット版を創設するなど、民主主義をしっかりと守る基盤作りを急ぐ必要がある。そうした独立行政委員会が対応を所管すれば、ネット上に蔓延るフェイクニュース対策や少年少女の人権を脅かすネットの児童ポルノ問題への対策としても有効だ。

 

まず、サイトブロッキングのきっかけとなった政府決定を見ておこう。4月13日の開催の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議が決めた「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」だ。

それによると、ブロッキングには「『通信の秘密』を形式的に侵害する可能性がある」が、「侵害コンテンツの量、削除や検挙など他の方法による権利の保護が不可能であることなどの事情に照らし、緊急避難(刑法第37条)の要件を満たす場合、 違法性が阻却される」との見解を示し、「法制度整備が行われるまでの臨時的かつ緊急的措置として、民間事業者による自主的取組として、『漫画村』、『Anitube』、『Miomio』の3サイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定してブロッキングを行うことが適当」と打ち出したのだ。

補足しておくと、ほぼ1カ月前の3月19日。菅義偉官房長官が記者会見で「海賊版サイトによる被害が昨今、深刻化している」「クールジャパンを代表する重要なコンテンツの担い手に入るべき収益が奪われることは産業の根幹を揺るがす事態となりかねない。早急に対策を講じていきたい」と述べていた。

海賊版サイトに業を煮やしていた出版界は、政府の決定を支持している。集英社は緊急声明で「長年、海賊版サイトへの対策をとってきた」ものの、「削除されたファイルの自動的な再アップロード、秘匿性の高い海外サーバー利用などにより、対応は年々、困難になるばかり」「横行が続けば、創造のサイクルは消滅する」としたうえで、「海賊版対策において大きな前進」(集英社)と高く評価した。

また、講談社も緊急声明を発表し、「名前が挙がったサイト以外にも依然として多数(の海賊版サイトが)存在する」として、「コンテンツ・ビジネスを発展させていくためには、インターネットサービスプロバイダーや流通事業者などの協力が不可欠」と指摘した。

こうした動きを受けて、トップを切って問題の3サイトへのブロッキングを行う方針を打ち出したのがNTTグループだ。NTTドコモの吉澤和弘社長は4月27日、2017年度決算発表の席上、「(インターネットのコンテンツ・ビジネスの)発展を海賊版サイトが阻害しているという事実は誰もが認めている。見過ごすわけには行かないというのが、NTTグループの考え方」「(政府が)適当」としたので「自主的に(ブロッキングすると)判断した」と述べた。

しかし、ブロッキングに対しては、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)やインターネットユーザー協会(MIAU)、主婦連合会、法曹関係者の一部から「表現の自由」や「通信の秘密」を脅かすと強い反発の声が上がっているのも事実。

まさか、ブロッキングを実施してトラフィックや収入が減ることを嫌っているわけではないだろうが、同じ大手通信会社でもNTTと違い、KDDIやソフトバンクは慎重な姿勢を崩していない。

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