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サッカー

ハリルホジッチ「反論会見」を見て抑えきれない違和感の正体

このまま「無関心」が続くのだろうか…
ワールドカップ開幕まで半年を切って電撃解任されたハリルホジッチ元日本代表監督が、反論のために来日し会見を行った。4月9日の解任発表以降、混迷を続けるサッカー日本代表に対する世間の反応は薄い。日本がワールドカップに出場する以前から取材を続けてきた戸塚氏は危惧している。「初出場した98年フランス大会以降、これほど関心が持たれないワールドカップがあっただろうか」と。

非公開のトレーニングの内容への選手たちの不満

記者会見を開く前から、こうなることはわかっていたのかもしれない。

4月27日、ヴァイッド・ハリルホジッチ前日本代表監督が日本のメディアの前で解任の真相を語った。住居のあるフランスからやってきた彼は1時間の予定を大幅に超える時間を費やし、時に声を荒らげ、語気を強め、日本サッカー協会に対する反論を展開した。

 

4月9日に田嶋幸三サッカー協会会長が語ったところによれば、ワールドカップ開幕が2ヵ月後に迫ったタイミングでの電撃解任は、「コミュニケーション不足と信頼感の薄れ」が理由だった。「選手、スタッフとの摩擦は少なからずあるもの」としつつも、「今回はそれを越えてしまったこと」だと、田嶋会長は説明した。

ハリルホジッチ前監督は、「2015年3月の就任から何も問題はなかったと認識している」とはねつけた。「コミュニケーションが理由と言われても、あまりにも広い意味過ぎる。具体的に誰となのかを教えてほしい」と語り、「選手からたくさんの励ましをもらった」と付け加え、日本代表選手の槙野智章からのメッセージを紹介した。テクニカルスタッフからのメッセージも、合わせて読み上げた。

その一方で、ハリルホジッチ前監督は「何人かの選手が不満を漏らしているとは聞いている。田嶋会長とやり取りをしているようで、テクニカルスタッフともコンタクトを取っていたようだ」と話した。

この説明と前後して、ロシア・ワールドカップの出場権をつかんだ昨年8月のオーストラリア戦直後に、「2人の選手が試合に出られなくてガッカリしていた。その前に何年も試合に出ていたわけで、それでガッカリしていることに私は少し悲しく思った」と内情を明かしている。

ハリルホジッチ元監督は、不当解雇と名誉毀損で訴訟を起こす可能性を示している(photo by gettyimages)

試合に出て活躍した選手と、試合に出たけれど自分のプレーができなかった選手では、結果に対する受け止め方が変わってくる。ベンチで出番を待つだけだった選手ともなれば、悔しさの行く先を見つけにくい。

チームの一体感という意味では、全員が同じ思いで結果を受け止めたほうがいいに決まっている。しかし、必ずしもそうはいかない。これはもう、代表にもクラブにも付きまとう問題だ。

ハリルホジッチ前監督の選手起用は公平だった。クラブでしっかりとプレーしている選手、好調さを印象づける選手をスタメンに抜てきするのは、誰にとってもわかりやすい。そのなかで、21歳の井手口陽介や23歳の浅野拓磨らを公式戦で起用し、チーム全体の底上げを促したのは評価に値する。

世代交代を推し進めていったことについては、サッカー協会も成果として認めていたはずである。だとすれば、解任の引き金となった二つの理由のなかでも、「信頼感の薄らぎ」が大きかったと考えられる。

代表チームが活動中のトレーニングは、基本的に非公開で行われてきた。メディアが見ることができるのは冒頭の15分間だけか、試合翌日のリカバリー中心の全メニューに限られる。トレーニングの核心に触れることはできない。

そのなかで漏れ伝わってきたのは、トレーニング内容に対する不満だった。戦い方をそれまでと変えることになっても、ハリルホジッチ前監督は具体的な指示に乏しかったという。それでいて、メディアに公開される冒頭にピッチ上で延々とミーティングをする姿は、パフォーマンスと受け止められてもしかたのないものだった。