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カット料金「1万2000円」でも若い男子が殺到する美容院の秘密

「髪型」を売らないから集客できる
中村 トメ吉 プロフィール

なぜ「人の心を動かす接客」ができるのか

では平均年齢23.8歳の若い社員たちが、なぜ人の心を動かす接客ができるのでしょうか。

それは、ルールやマニュアルを一切作らず、若い社員たちが自分の言葉で顧客とコミュニケーションできているからです。

マニュアルを作らないということは、自ら考え、工夫して仕事に取り組む、やる気のある社員を育てなくてはなりません。

「若手にやる気を出させること」ーー、これが何より大変だと経営者の方の悩みをよく聞きますが、ここでも肝になるのは、「自分の心が動かされた瞬間」です。

「自分の心が動かされた瞬間」に価値を感じるのは、顧客に限った話ではありません。社員も同様です。

今の若い社員たちは、顧客同様、「モノ」でも「情報」でも動きませんが、自分の心が動かされた瞬間には、自ら動き自走する頼もしい仲間になります。

具体的に言うと、オーシャンでは社員たちが自ら宣言した志を、社員全員が共有し、応援する組織づくりをしています。

「君は、仕事を通してどんな志を実現したいの?」
「どんなふうに人の記憶に残りたいの?」

そう尋ねると、どんな若手も突然目を輝かせて、生き生きと語り始めます。

「志」を実現した社員のTwitter(筆者提供)

彼らが、自分が目指す将来像を語ることができるようになったらしめたものです。あとは、それを実現するために、何ができるか。一緒に「本気で」考えてあげればいいだけです。

上司や先輩から押し付けられた目標ではなく、自ら決めた目標や志に対しては、どんな人でも一生懸命になるものです。

僕はこれを「やらせる」よりも「やりたくさせる」教育と呼んでいます。これを意識するだけで、若手の成長速度は格段にアップします。

「若手を動かせる人」はビジネスでも成功する

若手を動かしたい、でもうまくいかない人たちが誤解していることがあります。それは、若手が何にモチベーション(動機)を持って動くかを勘違いしていることです。

・お金や評価だけでモチベーションをコントロールしようとする
・ルールやマニュアルで管理して統一化をはかろうとする
・会社の常識や社会的価値観を押し付けてそれに沿った行動をさせる

こういった指導法は、10年前まではそれなりに機能していたかもしれません。でも、今の若手を動かそうとしたいのであれば、間違っています。

 

若い世代が何をモチベーションにして動くのかを正しく理解していれば、顧客マーケティングも、社員教育もうまくいきます。

とくに、若手の扱いに悩んでいる人が多いこの時代だからこそ、若手の本音を理解し若手を動かせる人は組織でも重宝されます。まさに、「若手を動かせる人は、ビジネスでも成功する人」と言えるでしょう。

オーシャントーキョーは、現在、就職したい美容院ランキングで1位の企業です。就職の面接を受けるための整理券配布の日には、前日から徹夜組が原宿に列を作り、ニュースにもなるほどです。

人材不足が深刻な美容業界で、ここまで学生に選ばれるのは、若い社員たちの活躍が目立つからでしょう。実際、前の美容院で成果を上げることができなかった若手が、転職後に3倍、4倍の成果を出していくことはザラです。

プロジェクトを進める上でも、企業を経営する上でも、若手を動かせるかどうかは、その結果を左右します。