行政・自治体 週刊現代

実働10分で5万円稼げる天下り先「公証人」を知ってますか

廃止案に法務官僚が猛反発
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10分で5万円、時給にすれば30万円!公証人1人あたりの手数料のうち、約3割(900万円)をこの「定款認証」が占める。実はいま、この「定款認証」収入をゼロにしようという動きがあり、公証人たちと、それを仕切る法務省が激しい抵抗を繰り広げている。

「お手盛り」の公募制

昨年12月に閣議決定した「生産性革命」の経済政策パッケージ。起業促進のため、「法人設立の全手続きをオンライン・ワンストップで完結させる」という政策がある。

代表者印を紙で届け出するといった制度をすべてオンラインで電子化するという改革案で、手数料も安くなる。起業家にとっては朗報だが、法務省が、ある一点だけ、首を縦に振らないという。

「定款認証において、公証人との面前確認を廃止してオンライン化し、手数料をゼロにする」という改革案――電子化すれば公証人なんていらないだろうという話に、法務官僚が猛反発しているのだ。

「不正防止のために公証人は絶対に必要だ」というのが表向きの理由だ。だが実際のところは「公証人の収入が激減する。このレベルの天下り先を確保するのは困難だから、絶対に阻止したい」(法務官僚)からだ。

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3月8日、自民党の合同会議では、公証人の必要性を説く法務省民事局職員は「メッタ打ち」にあった。出席議員の証言。

「正直、天下りなんですよ。手数料も高すぎて、常識とは違うところにある」(岩井茂樹参院議員)

「反社会的勢力を、対面だからといって見抜けるかどうかはわからない」(平井卓也衆院議員)

 

一方、千葉地検検事正を務めた法務省エリートで、日本公証人連合会理事長を務める大野重國氏は、こう反論する。

「テレビ電話でもいいが、不正防止のために公証人が面前確認するべきだ」

――5万円の手数料は高すぎるのではないか?

「高いという根拠がわからない。完璧な定款が来れば10分とか30分で定款認証に進めるが、そうじゃないものも結構ある。また公証人は公募だから天下りではない。法曹出身者以外も任用がある」

だが公募が「お手盛り」なのは明らかだ。'12年からの5年間で、検察官は117名が応募し116名が任命。裁判官は92名が応募し92名全員が任命された。対して司法書士などは21名応募で1名しか任命されていない。

改革案を含む法案は今秋提出される見込みだが、「天下り天国」の抵抗はどこまで続くか。

「週刊現代」2018年5月5日・12日合併号より

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