写真:柏原力
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中退、引きこもり、貧困、発達障害…暗闇のなかの歩き方を支援する

【特別対談】鈴木大介×安田祐輔

現代ビジネスの好評連載を書籍化した『されど愛しきお妻様』、おかげさまで再び重版出来です! お祝いを兼ねて、書籍『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の塾をつくった理由』を上梓したばかりのキズキ共有塾代表・安田祐輔さんをゲストにお迎えして、スペシャル対談を行いました。

支援方法が「教育」だと、勉強嫌いは救われない!?

鈴木:『暗闇でも走る』を読ませていただいて、僕がすごく考えてしまったのが「僕みたいな子はどうすればいいんだろう」ということなんです。僕は昔から勉強が嫌いで、勉強して進学したところで社会に迎合してもらえるとはとても思えず、それ以外の道でどう生きていくかもがいてきましたし、僕の取材して来た触法や困窮家庭の子どもにも似たタイプがとっても多かったんです。なので、進学したその後をどう生きていくかにつながる支援にしてほしいな、と。「目標の大学に入れました、エンド」は絶対なしだと思ったんです。

安田:まさに! それは、うちの会社で必ずスタッフに言っているところです。普通の塾では「偏差値50のあなたは、この大学を受けて滑り止めはここで」ってやるケースが多いんですけど、うちは絶対それをやっちゃダメだと。

うちは受かることだけじゃなくて将来的な自立が目標だから、そこに資するかのみを基準にしないとダメと話をしてるんですね。だから合格実績を出さないんです。合格体験談は出すんですけど、それも大学も専門学校も全部出すようにしていて、難関大学だけの合格実績を書かないっていう話をしています。色んな自立の仕方があると思っているから。

写真:柏原力

もちろん、学習はある程度のレベルが必要だと思います。例えば、委託を受けている業務に、足立区のひとり親世帯への家庭訪問支援があるのですが、生活保護家庭で10歳だけど小1の漢字も読めない子、となるとまずは絶対に学習が必要だなと思います。

一方で18、19歳にもなる子に全員学習が必要だとは全く思っていません。ですが、勉強すると自己肯定感が高まる効果があること。また、コミュニケーションや喋るのが得意じゃなく、それが原因で中退して引きこもってしまうような子にとっては、受験をして何かしらの専門性を身に付けるというのは結構アリな進路だなとずっと思ってます。例えば薬剤師とか。

鈴木:資格職?

 

安田:そうです。アスペルガー傾向が強い人間にとってはかなり有用だなと。勉強に対しては普通、でもコミュニケーションにかなり課題があるタイプはそういう進路もありますよね。あと15歳から引きこもってきた子が24歳になってめちゃくちゃ安定した仕事に就きたいと思ったら、29歳まで大卒OKな公務員を目標にするとか。勉強をすると意外に幅が広がってその子に向いた進路があるなということはすごく思います。

けれども、全部がそれで解決できるわけじゃないことも認識していて、新宿区の関連団体から委託を受けてる引きこもりの子向けの「働く支援」を5年ぐらいやっていますが、16歳位から引きこもってて、現在25〜30歳くらいとなると、もう勉強じゃないかもなっていう。それこそスーパーでまずインターンシップさせて徐々に働くのに慣れてもらうみたいな支援も同時にしています。