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5月5日は立夏。二十四節気と暦の深い関係

なぜ年によって微妙に日にちが変わるのか

2018年5月5日は、こどもの日であり「立夏」の日です。立夏は、細やかに移りゆく日本の季節を表す「二十四節気(にじゅうしせっき)」の中のひとつです。

立夏とは、「今日から暦の上では夏」という日。確かに、すでに夏を思うほどの暑さの日もありますが、まだ夏と呼ぶには違和感を覚えるという人がほとんどではないでしょうか。思い返せば、頭に「暦の上では」とつけて伝えられる春夏秋冬の宣言は、いつも季節を先取りしすぎている気がします。

このずれについて、まず思い浮かぶのは「旧暦をもとにしているから実際の季節とは異なる」という説明ですが、これは誤りです。二十四節気と旧暦は、関係はあるものの、まったく別のものです。知っているようでよく知らない季節と暦の深い関係をひも解いていきましょう。

二十四節気は天文学的な計算によって決まっている

まず、二十四節気です。二十四節気には立夏の他に、立春や冬至のように聞き馴染みあるものもあれば、小満(しょうまん)や芒種(ぼうしゅ)など、いつのことだかさっぱりわからないようなものもあります。これらは俳句の季語にも使われるので、人間の感覚を元に配置したものと思うかもしれませんが、実は、複雑な天文学的計算によって決められています。

二十四節気が基準とするのは、地球と太陽との位置関係です。

まず、地球視点での宇宙空間(天球)をイメージしてください。地球が太陽の周りを公転する様子は、地球視点では、太陽が1年がかりで地球の周りをぐるりと360度移動するように見えます。

二十四節気は、この360度の移動を15度ずつ、24等分していき、その区切り目となる瞬間に名前をつけたものです。そして、その点を太陽が通過する瞬間を含む日を、その名前で呼びます(また、その日から次の二十四節気の前日までの期間の名前でもあります)。

基準点となる0度は春分点です。春分点は、黄道(前述した太陽の360度の移動を天球に描いたもの)と天の赤道(地球の赤道を天球に延長したもの)の交点のひとつ。この点を太陽が通過する瞬間は、地球の自転軸に対して太陽が垂直に位置するため、同じ緯度において昼と夜がちょうど半分ずつの状態になります。この瞬間が「春分」であり、その瞬間を含む日が春分の日です。

黄道と天の赤道の交点のもう一方が秋分(180度)で、その2点の間にある、北半球において昼の面積が最も大きくなる瞬間が夏至(90度)、その真反対の位置が冬至(270度)です。

地球と太陽の位置関係
  太陽と地球の位置関係 

ところで、なぜ角度で求めるのでしょうか。1年を時間で等分した方が簡単に計算できそうな気がします。それには、ケプラーの第二法則が関係しています。

ケプラーの第二法則は、「惑星と太陽を結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である」というもの。簡単にいうと、楕円軌道を描く惑星は、太陽から遠い位置では遅く動き、太陽から近い位置では速く動きます。移動速度が位置によって変わるので、時間で等分しては節目の瞬間が実際のタイミングとずれてしまうのです。そのため、日本では1844年以降、角度を基にした方法(定気法)で二十四節気を計算しています。

太陽が春分点を出発し再び春分点を通過するまでにかかる時間(1太陽年)は、365.24日程度です。そのため、二十四節気は毎年同じ日にくるとは限りません。さらに、地球の公転運動は厳密には一定ではなく、他の惑星や月の引力、地球の自転軸の変動に伴って毎年微妙に異なっています。毎年の1太陽年を調べると、プラスマイナス15分程度もの幅があります。この変動を遠い将来まで正確に予測することはできません。

毎年の二十四節気を計算するのは、国立天文台です。そして、前年の2月最初の官報で、国民の祝日や日食、月食の日程などとともに「暦要項」で発表することで正式決定になります。

暦要項
  暦要項(©国立天文台) 

旧暦の修正に使われる二十四節気

旧暦は、日本が過去に採用していた暦のことですが、厳密には1844年から1872年に使用していた天保暦を指します。その後に現在も使っているグレゴリオ暦に切り替えた時、それまでのものを旧暦、新しいものを新暦と呼んだことに由来します。

旧暦では月の満ち欠けが基準となり、新月の日を1日目として、29日あるいは30日で1ヵ月です。この暦の利点は、カレンダーがなくても月を見れば日にちがわかることです。しかし、12ヵ月経っても354日しか進まないため、この調子で年を重ねると暦が季節と大きくずれていってしまう欠点があります。

このずれを修正するのがうるう月です。うるう月は、二十四節気をもとに3年に1度程度の頻度で挿入されます。二十四節気のうち、冬至から1つ飛ばしに数えた12こ(中気と呼びます)の日を調べ、中気を含まない月はうるう月として、その年は13ヵ月にします。

中気が2つある月があれば、冬至を含む月は11月、春分を含む月は2月、夏至を含む月は5月、秋分を含む月は8月とする方法で季節を合わせます。それができるのも二十四節気が太陽の動きを正確に反映しているからです。旧暦のように月の満ち欠けを基準としつつ、太陽の動きで補正する暦は、太陰太陽暦と呼ばれます。