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防衛・安全保障

トランプの「シリア懲罰攻撃」に、金正恩はほくそ笑んでいる!?

独裁者が生き残る世界

アメリカは体制転換を目指さない

最近の国際ニュースをフォローしていて驚くのは、大ニュースが瞬く間に旧聞と化すそのスピード感だ。

その一因が、トランプ米大統領の速射砲のごとき「ツィッター外交」であることは疑いがない。

シリアでの化学兵器使用疑惑をめぐり、トランプ氏が4月11日、シリアの後ろ盾であるロシアに対し「ロシアよ、準備しろ(Get ready Russia)。素晴らしく、新型でスマートなミサイルが飛んでくるぞ」とツィートとしたことを今も気に留めている人はどれくらいいるだろうか。

ロシアは今も核大国としてアメリカのライバルである。

トランプ氏の挑発的なメッセージが冷戦時代に発せられていたなら、世界は核戦争への恐怖に震え上がったことだろう。

「トランプのアメリカ」を中心とした世界では、そんな言動がまるでジョークだったかのように次々と過去のものとなっていく。

 

アメリカでは、大統領の戦争権限や「核のボタン」の在り方をめぐり見直しが必要だとの指摘も出ているようだが、大きな声にはなっていない。

情報発信の奔流を前に、国際社会の良識が麻痺していくなら、それは世界が「トランプ流」に押し流されたことを意味するのだろう。

前段が長くなったが、本コラムでは、米英仏が13日に実施したシリア懲罰攻撃から見えてきた二つの点に触れたい。

一つ目は、シリアでは、アサド大統領の「勝利」を受け入れることでしか、内戦を終結させる現実的な選択肢はなくなったということだ。

かつて「アサド退陣」を高く掲げていた米欧諸国にその強い意思はもはや見られない。

二つ目は、アメリカが外交政策において「体制転換」を目指さない姿勢を鮮明にしていることだ。このことは、北朝鮮の金正恩・労働党委員長にも光明となっているはずである。

金正恩氏は来るべき米朝首脳会談に向け「議題(アジェンダ)設定」ですでにイニシアチブを握っているように見えるが、体制維持への手応えを得ていることだろう。

シリアで起きていることは、北朝鮮問題の行方にも密接に関係してくるということである。