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医療・健康・食 週刊現代

平熱「35度」台と「36度」台、長生きするのはこっちだ

寿命はやっぱり「体温」で決まる

エネルギーが有り余る

これまで見てきたとおり、エネルギッシュに活動するためには、平熱を36.5℃以上に保つことが重要だ。とくに活動量が多い中年期、壮年期にかけては、体温を高めておくことによって臓器や筋肉が活発に働き、意欲的に動くことができる。

しかし、いつまでも高い体温を維持し続けていいかと言われるとそれは違うようだ。高齢になったときには、その年齢に応じた「適切な体温」が存在している。

昨年12月、イギリスの医学専門誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の医師らによる論文が発表された。

アメリカの大規模病院の外来を定期的に受診した18歳以上の患者、約3万5000人のデータを使い、体温とその他の健康指標がどう関わっているかを調べたものである。

患者は、感染症の診断を受けていないか、抗菌薬を処方されていない人が選ばれた。

甲状腺機能の低下が、体温が低いことと関連性があるなど、様々な結果が明らかになったが、何より注目を集めたのは、「体温が低いほうが、寿命が長い」という結果だった。

体温が0.149℃高くなるに従って、1年後に亡くなっている可能性「1年死亡リスク」が8.4%増加することがわかったのである。

 

この研究に携わったジアッド・オバマイヤー医師は本誌に、「高い体温と高い死亡率の関係は重要な発見ですし、そもそも体温が死亡率に与える影響が大きいことが明らかになったのも価値あることだと考えています。しかし、まだ詳しいメカニズムはわかっておらず、今後さらなる研究が必要です」と語った。

江田クリニック院長の江田証氏が言う。

「実は、低体温の人のほうが長生きしているという傾向は複数の研究で示されています。疫学的にたしかな事実です」

体温が高いほうが、免疫力が高まり、内臓が活性化すると言われているが、なぜ低体温のほうが寿命は長くなるのか。江田氏が続ける。

「これには、『活性酸素』が関わっています。体温が高い人というのは、いわばたくさんの燃料を使って走っている機関車のようなものです。

ボイラーに石炭を次々に放り込んで、ガンガン燃やしている状態。その結果、機関車の場合は大量のススが出てきますが、それが人間では活性酸素に当たるのです。

活性酸素は、DNAを傷つけ、疾患のリスクを高めていると考えられています。100歳を超えた『百寿者(センテナリアン)』には3つの特徴がありますが、そのひとつが、『体温が低いこと』なのです」

105歳で亡くなるまで元気に過ごした元聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏も、'12年(当時100歳)の講演の際、「私は起床時には35℃あるかないかです」と語っている。