『同性恋親友会』のホームページより
中国

中国のLGBTはいま、こんな差別を受けている

ゲイ、腐女子もあやうく禁止の恐れアリ

差別的なAI出現

「やあ愛ちゃん。同性愛って変態だと思うかい?」

「たぶんそうね」

これは今年4月6日、中国のネット上で問題視されたやりとりである。「たぶんそうね」という返答に対して、確認のために「同性愛は変態なのか?」と再度尋ねると、「精神的にものすごくねじ曲がっていると思うよ」という返答が返ってきたのだった――。

上記のやりとりをおこなったのは、”中国のアップル”の異名もあるイノベイティブなIT企業・シャオミが昨年8月から販売したスマートスピーカー「Xiaomi Mi AI Speaker」(中国名「小愛」)である。299元(約5100円)の比較的安価なモデルながら、シャオミのオリジナルのAIを搭載。連携するアプリを通じて、ユーザーからの様々な質問やその回答を学習し、対応できる会話の幅が広がっていくという意欲的な一品だった。

 

だが、無垢な学習型AIはユーザーが教え込んだ質問と回答によっては“暴走”する。2016年3月、マイクロソフトが開発したツイッターアカウントのAI「Tay」がSNS上でヘイトスピーチを連発したり、2017年8月に中国のテンセントがチャットソフト上でリリースした「Baby Q」が反体制的な発言を繰り返したエピソードは記憶に新しいが、今回のシャオミAIの「同性愛差別発言」も同様の現象だったらしい。

この事実は6日、中国国内の同性愛者のインターネットテレビch『同志之声(同性愛者の声)』を通じて微博上で暴露され、数日後にシャオミが謝罪声明を出すまでになった。シャオミはこの回答が、あくまでも一般ユーザーからの意見を反映するオープンな学習の成果によってもたらされたものであって、AI製作者の思想を反映したものではないと釈明に追われた。

シャオミの製品ホームページより。シャオミはギーク寄りの社風や製品開発姿勢が評価されてきた企業で、低価格スマートスピーカーも同社のアグレッシブな挑戦のひとつだったのだが

根強い差別意識

中国はもともと同性愛への差別意識が根強い。後世に(男系の)子孫を残すことを親や祖先への最大の孝行とみなす儒教的な伝統観念のなかで、血の繋がった子孫を残せない同性愛が忌避されがちだったことも一因だ。

加えて中華人民共和国の建国後は、出産による人民の「数」をも計画・管理したがる社会主義国家のイデオロギーのもとで、子どもの出産に繋がらない同性愛はやはり嫌われた(同性愛が西側のブルジョア的な退廃文化の一部とみなされたという理由もある)。

刑法上でも1997年までは、同性愛者に「流氓罪(ごろつき罪)」という、ホームレスなどを取り締まるのと同様の刑罰が科されてきた。さらに2001年までは、精神疾患として扱われており、矯正治療の対象となっていた。現在もなお、中国の検索エンジン『百度』で検索すると、同性愛志向の「治療」の必要性を論じるような記事やネット掲示板への投稿が簡単に引っかかる。

諸報道によると、中国ではゲイ(男性同性愛者)の90%が、異性愛者とみられる女性と結婚(一種の偽装結婚)しており、自身のセクシュアリティのカミングアウト率は5%程度にとどまるという。中国はゲイ人口が約2000万人とも推算され、世界最大級の同性愛大国なのだが、性的少数者が自身の個性を公言することが非常に難しい国でもあるのだ。