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ドイツの「子ども手当」が寛大すぎて移民・難民が減るワケがない件

学生であれば25歳まで延長可能!

ドイツの子ども手当は大変寛大で、1人目、2人目の子どもには月額194ユーロ、3人目が200ユーロ、4人目からは225ユーロである(1ユーロ=130円で換算して、それぞれ2万5220円、2万6000円、2万9250円)。

いうまでもないが、子ども手当の目的は、子供を持ったがために貧困に陥るのを防ぐことだ。出産や子育てや教育にはほとんどお金がかからないよう、ドイツ政府はありとあらゆる対策を講じている。

子ども手当の対象は18歳までだが、まだ学業の途上であれば、25歳まで延長される。学生で、ほとんど収入がなければ、大の大人でも子ども手当をもらえるのである。18歳からは成年なので、子ども手当は、もちろん、その「子ども」自身に支給される。

子どもが18歳以下なら、子ども手当は親がもらう。高所得者の場合は、現金支給ではなく、税金で調整されることになる。ちなみにEUで一番高額な子ども手当はルクセンブルクの265ユーロ(3万4450円)で、その次がドイツ。一番安いのがギリシャで5.87ユーロ(763円)だ。

 

2010年比でほぼ10倍に増加

EUでは、労働市場の統合が進んでいるので、EU加盟国の国民であれば、EUのどこでも自由に働ける。そして、就労者はそれぞれ、働いている国の税制の下に組み込まれる。つまり、就業し、税金を納めれば、その代わりに、そこの国民と同じ税制上の権利も付与される。

子ども手当は福祉の一環ではなく、税制に付随しているため、ドイツで働いているEUの国民は、ドイツ人と同じだけの子ども手当をもらえる。しかも、国に置いてきている子どもの分までもらえる。EUの法律がそうなっているし、また、それがEUの意思でもある。

ただ、そのために現在、ドイツでは、EUの労働者に支給している子ども手当の額が急激に膨れ上がってしまった。複数の大手紙の報道によれば、2017年、ドイツで働くEUの労働者が国に置いてきている子どもの数が21万5499人。その子どもたちに支払われている子ども手当の額が3億5000万ユーロ(同455億円)近くに上っている。2010年比でほぼ10倍に増えたそうだ。

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ドイツには東欧からの労働者が多い。ドイツはずっと昔から、常に外国人の安い労働力をうまく利用し、経済を発展させてきた。それは今も変わらず、工業も、農業も、各種サービス業も、外国人労働者抜きでは機能しない。目下、ドイツ経済が絶好調なのも、それら安い労働力に支えられている面がある。だから、その労働者に子ども手当を支払うことは、もちろん正しい。

ドイツで働いているEU市民で一番多いのはポーランド人で、2017年、正規雇用とパートを合わせて28万から29万人もいる。そして、彼らが祖国に置いてきている子どもの数が10万3000人。ドイツがEUの外国人の、外国にいる子どもたちに支払っている手当の半分近くを、ポーランド人の労働者が受け取っていることになる。それが2017年、約1億6120万ユーロ(約210億円)に上った。

ただ、現実問題として、EU諸国の間では、経済状態にかなりの差がある。ドイツの平均月収が3771ユーロ(49万円)なのに比べて、ポーランドのそれは955ユーロ(12万円強)。ルーマニアが714ユーロ(9.3万円弱)で、ブルガリアが571ユーロ(7.4万円)だ。

つまり、東欧の労働者の国に残された家族は、子どもの数が多ければ、ドイツから送金される子ども手当だけでも結構、楽に暮らせることになる。現在、ドイツの子ども手当が、これらの国々で、出産の大きなモチベーションになっているという噂もあるほどだ。

なお、EUは、旧ユーゴスラビアやアルバニアなどともすでに加盟交渉を始めているが、これらの国はさらに貧しく、平均収入は400ユーロを切っているところも少なくない。

 
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