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アメリカの国家機関が世界初の「AIドクター」を認可した事情

画像診断の正答率は90%…!

米FDA(食品医薬品局)は今月、患部画像をAI(人工知能)で自動分析して病気の診断を下す医療機器を認可した。診断分野は「眼科」に限定されているが、世界初となる「AIドクター」の誕生と見られている。

https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm604357

医療用のAIとしては、すでにIBMの「ワトソン・ヘルス」などが実用化されているが、あくまでも医師支援ツールとしての位置づけ。つまりAIが提供する医療情報を参考にしつつも、実質的な診断は医師(人間)が行う。

これに対し、今回FDAから認可された「IDx-DR」と呼ばれる医療機器では、その場に眼科医がいなくても眼疾患の診断を行うことができる。

眼底写真をディープラーニングが診断

IDx-DRは、眼底写真用の特殊カメラ「Topcon NW400」で撮影した(患者の)網膜画像を、先端AI「ディープラーニング」を使って自動解析。様々な眼疾患の中でも、(この患者が)特に「糖尿病性網膜症」にかかっているかどうかを判定する。

糖尿病性網膜症は糖尿病患者がかかりやすい病気で、症状が進行すれば失明に至る恐れもある。ただし定期的な眼底診断などで早期発見できれば、そこから適切な医療措置を施すことにより症状の進行を止めることができる。

しかし米国では眼科医の不足などから、全米で3000万人以上いる糖尿病患者の約50%が1年以上にわたって眼底診断を受けていない。そこで人手不足の眼科医に代わって、疲れを知らないAIが、多数の患者の定期的な眼底診断を行おうというのが、この医療機器の基本コンセプトだ。

 

IDx-DRは、主に地域のクリニックで使われることを想定して開発・商品化された。糖尿病患者が普段訪れる地元クリニックには、かかりつけの主治医はいても眼科専門医はいないケースが多い。そこで主治医がIDx-DRの専用カメラを使って患者の眼底を撮影し、そこで撮影された網膜画像をディープラーニングが診断して、この患者が網膜症かどうかの判定を下す。

気になるのは、その性能だが、FDAが認可を与える前提として、実際の患者らから撮影された網膜画像900枚を使ってテストしたところ、IDx-DRによる画像診断の正答率は90%近くに達したという。

この数字を見る限りなかなかの性能だが、それでも100%の正答率ではないので、IDx-DRで「糖尿病性網膜症」と判定された患者は、その後、改めて眼科専門医の診断を受ける。逆に「病気ではない」と判定された場合でも、1年以内に再検査を受ける必要がある。

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