磯山友幸「経済ニュースの裏側」
2018年04月24日(火) 磯山 友幸

今夏にも閣議決定「第5次エネルギー基本計画」は日本の未来を描くか

重要な課題が山積みだが…

方向性は煙に巻いたまま

この提言は現在見直しが行われている国の「エネルギー基本計画」に盛り込まれることになっている。基本計画の方向性を指し示す役割を担うことが期待されていたと言っても良い。

基本計画の見直しは、経済産業大臣の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(分科会長・坂根正弘コマツ相談役)」で議論されている。

本来は原発の行方などを長期的な視点で検討すべきなのだが、大所帯で意見がまとまらないこともあり、少人数の懇談会が設けられた。

懇談会にも加わった坂根氏は技術者出身の経営者で、「化石燃料がいずれ枯渇した時の事を考えれば原子力技術は放棄すべきではない」というのが持論。懇談会の提言も、もっと理詰めで原発技術の開発持続の必要性を説く内容になるとみられていた。

最終的には「脱炭素化」という言葉で煙に巻き、原子力はあまり目立たせない仕上がりになった。

 

世論を気にしてまた先延ばし

現在のエネルギー基本計画は第4次計画。原発については「ベースロード電源」としたものの、一方で「可能な限り低減させる」という方針を示した。

というのも2012年秋に民主党政権が打ち出された「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」というがあったためで、これを見直したものの、全く逆に「原発推進」を打ち出すまでには、世論を気にしてできなかった、ということだろう。

第4次計画では、原発の「新設」や「建て替え」といった文言は書き込まれていない。既存原発を再稼動させたとしても、最長40年が経てばルール上、廃炉になってしまうため、なし崩し的に「脱原発」が進んでしまうわけだ。

それだけに、見直し中の第5次計画で、原発について政府がどう方向性を示すのかが注目されている。

だが、前哨戦とも言えた懇談会の提言に、原発の新設や増設といった文言が全く含まれなかったことで、第5次計画も「玉虫色」のままになる可能性が強まった。

いくらなんでも懇談会の提言にある「産業基盤の強化」や「機動性に優れた炉の追求」という文言で、原発の新設を意味していると強弁するのは難しい。

原発推進派からは、2050年になっても原発を維持すると言っている以上、原発新設は既定路線だという声が上がるかもしれないが、それでは国民のコンセンサスを得たことにはならないだろう。

夏にも閣議決定されるとみられる第5次エネルギー基本計画に注目したい。

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