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「生産性革命」が起こっても、結局、喜ぶのは富裕層だけだった

失業者は激増、格差の拡大は進む
少子高齢化により人口減少が加速する日本。この先、経済規模は縮小し続け、社会不安は増幅する一方である。そんな状況下で、政府の掲げる「生産性革命」は、私たちを幸せにするどころか、むしろ失業者を激増させ、格差を拡大させる可能性があるという。経済学の教科書通りの考え方は、もう通用しない——。経済アナリストの中原圭介氏が、日本の未来に警鐘を鳴らす。

前提としての人口減少

今、日本経済に停滞をもたらしている主因は、人口減少を引き起こす少子高齢化、とりわけ、少子化をおいて他にありません。

国勢調査は5年ごとに行われていますが、2015年に行われた国勢調査では、日本の人口は1億2709万人でした。前回の2010年の調査より96万人も減っていたのです。国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集2018』によれば、日本の将来の人口は、

2020年 1億2532万人(177万人減)
2025年 1億2254万人(278万人減)
2030年 1億1912万人(342万人減)
2035年 1億1521万人(391万人減)
2040年 1億1091万人(430万人減)
2045年 1億  624万人(449万人減)
2050年 1億  192万人(450万人減)

というように、人口減少が年を追うごとに加速していきます。人口が減っていけば消費も減っていくので、当然のことながら、日本の経済規模は縮小していきます。

このまま問題の先送りを続ければ、日本の人口は2053年には1億人の大台を下回る9924万人にまで激減することが予測されています。

2018年2月1日現在、日本の人口は1億2656万人(総務省統計局「人口推計」/概算値)ですので、日本の社会は今後35年間で2732万人も〝縮む〟ことになるというわけです。

 

日本の人口減少がより深刻なのは、総人口の減少数に比べて生産年齢人口(15~64歳)の減少数がだいぶ多いのに加えて、高齢者人口(65歳以上)の数が25年近くも増え続けるということです。

すなわち、生産年齢人口の過度な減少によって所得税・住民税の歳入が不足する傾向が強まる一方で、高齢者人口の増加が続くことで年金・医療・介護等の社会保障費が膨張していくのが避けられない見通しにあり、最初のヤマと目されているのが「2025年問題」です。

経済規模の縮小、社会不安の増大は不可避

これは、約800万人いるといわれる団塊世代(1947~1949年生まれ)のすべてが、2025年には後期高齢者(75歳以上)になり、超高齢社会が〝本番〟を迎えることを指しています。

厚生労働省は、2025年度には介護費を含む福祉その他の費用が2015年度の1.24倍、医療費が1.37倍となり、総額も29兆円増えて148兆9000億円に膨れ上がると試算しています。

一般的に消費税を1%上げると税収は2兆円増えるといわれていますが、29兆円となればほぼ消費税15%分にも相当するのですから、まさに日本は「自転車操業の事態」に陥るのです。

それを防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

いうまでもなく働く現役世代は増税や社会保険料の引き上げを余儀なくされますが、それだけで社会保障費の財源を補えるはずもなく、最終的には高齢者の年金の減額や医療費・介護費の自己負担増などで対応せざるをえなくなります。

一連の増税や社会保険料の引き上げは、経済活動の中核にあたる人々の消費を冷やし、医療費等の自己負担増は多少の病気では病院に行かない人々を増やし、やがて高齢者の貧困が今まで以上に切実な社会問題となるでしょう。