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あらゆるものを資産化する「メルカリ経済圏」のポテンシャル

日本発のルールにこそ活路はある
田中 道昭 プロフィール

「仲間同士」がつながる空間

昨年末、「mercariR4D」という研究開発組織を立ち上げたメルカリは、東京大学、筑波大学やシャープなど6機関とIoTやブロックチェーンなどをテーマに共同研究を開始した。

その発表のあったトークセッションを拝聴したが、登壇した筑波大学の落合陽一氏ら研究者たちの議論によれば、衣服に関連するビッグデータが集まれば、アマゾン・ファッションのように類似商品の提案や、3D技術を使って多様な角度から商品を紹介することが可能となるという。

さらに、2年程度のデータ蓄積で、実店舗での試着と同じ機能が実現できるということだった。スタートトゥデイのゾゾスーツの機能に迫る研究だ。

しかもそれをUSEDファッションというアマゾンやゾゾタウンとはバッティングしにくい領域で展開するのである。メルカリの強みとは、やはり“フリマ”であることなのだ。

アマゾン・ファッションもスタートトゥデイのゾゾタウンもB2Cモデルのビジネスだが、メリカリのフリマアプリはC2Cビジネスである。

それはむしろ「P2P(Peer to Peer=対等な個人同士)」と言った方が適している。

Photo by iStock

前回、スタートトゥデイが顧客との関係性を「友達」としていることを紹介したが、P2Pビジネスのメルカリは自身のプラットフォームを「対等な仲間同士」がつながる空間にできる潜在力を秘めているのである。

ファッション界のジレンマを解決

同様に前回、筆者はゾゾタウンが社会の多重なパラダイムシフトの中で拡大していることを紹介したが、昨今のメルカリもまさにパラダイムシフトの申し子のような存在である。

 

「所有・購入」よりも「シェア」で充分。「複雑・煩雑」よりも「シンプル・ミニマル」な暮らしを好み、人生の目的は「欠乏欲求」よりも、「自己実現欲求」を満たすことに重きが置かれる。こうした新たな価値観は、ファッション界でもイノベーションのジレンマをもたらした。

かつてハイビジョン、プラズマテレビのような高スペックなテレビが毛嫌いされたように、ファッションにおいても「着こなしはシンプルデザインが楽」、だったら「新作じゃなくてもいい」、さらに「新品じゃなくてもいい」と消費者は考えるようになった。

百貨店の高級ブランドよりもプライベートブランド(PB)でおしゃれ感覚が満たされるようになり、メルカリの登場でUSEDファッションも手軽に手に入るようになったのである。

つまりは、「ここまで頻繁に新しいファッションはいらない」という意味でのイノベーションのジレンマを解決したのがメルカリなのだ。

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