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2017年度決算から読み解くコンビニ3社「それぞれの生き残り戦術」

シェア争いはもうやめた…?

日本の消費市場を牽引してきたコンビニが大きな曲がり角を迎えている。これまでは規模拡大を前提にしたシェア争いという図式だったが、市場が飽和状態となり各社は戦略の見直しを余儀なくされている。近い将来、主要3社のビジネスモデルはバラバラになっているかもしれない。

 

コンビニの来客数は減り続けている

日本フランチャイズ協会が発表した2月時点におけるコンビニエンスストアの来客数(既存店ベース)は前年同月比マイナス1.4%となり、24ヵ月連続で来客数が前年を下回った。

日本は今後、本格的な人口減少時代を迎えるが、今のところ人口はごくわずかしか減っておらず、消費市場が急激に縮小しているわけではない。それにもかかわらず、コンビニの客数が減少しているのは、ネット通販とドラッグストアに客を奪われているからである。

アマゾン・ジャパンの2017年の売上高は約1兆2600億円と前年より10%増加、楽天の国内EC流通高(チケットやトラベルなど含む)は3.4兆円でこちらも前年比13%以上の伸びを記録している。ネット通販市場は、コンビニ市場と比較するとまだ小さいが、ジワジワとコンビニを侵食している。

リアル店舗でコンビニの脅威となっているのがドラッグストアである。以前からドラッグストアはコンビニ化を進めていたが、ここに来てその流れが加速している。一部のドラッグストアでは、生鮮食料品まで取り扱うようになっており、もはやドラッグストアとは呼べない状況まで進化している。

同じ商圏の中に、コンビニと似たような品揃えのドラッグストアが増えてくれば、当然、顧客の奪い合いとなる。これまで圧倒的な店舗数を武器に、業界内だけの争いに注力できたコンビニ業界としては、初めての試練ともいえる。

こうした中で発表された各社の決算は、非常に興味深い内容だった。

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王者セブンは「人」による接客にこだわる

市場の飽和という逆風をはねのけ、過去最高益を更新したのは最大手のセブンだった。セブン-イレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスの決算は、売上高(営業収益)が前年同期比3.5%増の6兆378億円、当期利益が前期比87.2%増の1811億円と4期ぶりに過去最高益を更新した。

意外にも良好な決算だったが、そのカラクリは海外事業にある。

同社は昨年、米国のコンビニであるスノコLPを33億ドル(約3650億円)で買収している。買収時期の関係で、全額が決算に反映されたわけではないが、それでも営業利益の増大に大きく貢献した。営業利益の増分のうち、約半分が海外事業によるものだ。

海外ほどではないが国内コンビニ事業も比較的好調だった。セブン-イレブンの全店売上高は前年比で3.6%とまずまずの状況となっているが、客数自体は0.9%ほど減少している。商品や接客を工夫して客単価を上げたことや、新規出店によって売上高ベースでのプラスを維持した。

セブンは断トツのトップ企業であるだけに、大胆な決断をしにくいという難しい状況に置かれている。同社における今後の基本戦略は、店舗レイアウト変更という地道な単価上昇施策と、海外事業の強化である。