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いま、中国が参考にしているのは「30年前の日本の経済政策」だった

習近平が取り組み経済大革命の全貌
真壁 昭夫 プロフィール

人民元経済圏の拡大を

10日、中国海南省の博鰲(ボーアオ)における習氏の講演にも、この考えが如実に表れていた。特に目を引いたのは、輸入拡大を重視する考えが示されたことだ。

米国への配慮があることは言うまでもない。それ以上に重要なのは、中国が自国の経済圏の拡大=人民元で貿易や投資の資金決済が行われる地理的な範囲の拡大、を目指していることだろう。

バブル崩壊後の日本経済は、ドルなどに対する円の上昇=円高から無視できない影響を受けてきた。

経済の発展に伴って各国の金融市場の関連性が高まるとともに、自国にとって望ましい為替レートを実現するために為替介入を行うことは国際的な反発や批判を招く。この状況を回避するためには、自国通貨の為替レートの変動を受けないようにすればよい。

それを目指す取り組みが“一帯一路”だ。すでに中央アジア地域にまで人民元は流通している。本年中に、上海とロンドンの株式相互取引の開始も目指されている。

 

人民元の取引範囲を広げるために中国は自国を中心とする多国間の経済連携を進め、需要の取り込みと創出、為替レートから受ける影響の抑制を目指していくだろう。そうした取り組みへの期待が年初来の人民元の堅調さを支えているとも考えられる。

中国の取り組みが、どのような効果を発現していくかはわからない。しかし、トランプ政権がグローバル化に反対し、世界からの孤立感を深めているだけに、中国の取り組みは相応の求心力を持つ可能性がある。

トランプ政権が環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰する条件を検討し始めたことは、中国への警戒感が高まっていることの裏返しと解釈できる。

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