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医療・健康・食

開業医の知られざる真実…あなたのクリニック選び、それで大丈夫?

かしこい患者になるために(2)
名医検索サイト「クリンタル」の代表取締役・杉田玲夢さん(医師)に、かしこい患者になるためのコツを解説してもらう短期集中連載第2回。今回は、クリニックを選ばなければならない理由についてです。(→第1回はこちら

2つの役割

「クリニック」とは、診療所を指し、病床が20床未満の医療機関とされています(20床以上は「病院」と呼びます)。

皆さんがクリニックと聞いてイメージするような街の開業医がほとんどですが、中には入院施設を持っていて、見た目にかなり大きい場合もあります。

ではなぜ「病院」とは別に「クリニック」があるのか。

その役割は大きく2つあります。

1つは、外来通院で済むような比較的軽症の患者さんに対して、適切な医療や情報を提供すること。

もう1つは、クリニックでは対応できない精密検査や手術が必要と思われる患者さんを迅速に発見し、適切な病院へと紹介すること。

ようするに、自分のところで対応できる患者さんには適切な医療を提供し、対応できない患者さんには適切は病院を紹介する、ということです。

クリニックをしっかり選ばないと、これら2つの点において患者さんにデメリットが生じることになります。それぞれ見ていきましょう。

 

開業医は経営者でもあるので…

クリニックの役割の1つは、適切な医療や情報を提供することにあります。

しかし、この「適切な」というのが、実はなかなか難しいことです。というのも、医療は日々進化しているので、3年前の常識が通じないということがままある世界なのです。

新しい薬は毎年登場しますし、患者さんへの説明の仕方や検査すべき項目なども、診療ガイドラインの改訂などを通じて日々改善されています。そのため、医師は基本姿勢として、生涯学び続ける必要があります。

ただ、現実問題として、クリニックの医師が日々アップデートされていく医療にきちんとついていくのは、病院の勤務医にくらべてかなり困難なのです。なぜか? それは次のような事情によっています。

まず、学ぶための時間の確保が難しい。

クリニックの先生は、開業医であると同時に経営者でもあります。病院の勤務医であれば、診療以外の時間を研究や勉強にあて、知識やスキルを高めていけますが、開業医は、診療以外の時間にまず経営を考えなければなりません。

看護師をいつ増やすのか。外注費用はどう減らしていくか。ホームページでどういう情報発信をすればいいのか……。経営者として考えなければならないことはたくさんあります。

病院だったら事務職員や病院長が検討する事柄を、開業医は診療しながら一人でやる必要があります(一部をコンサルタントに任せている場合もありますが、自身の業務がなくなるわけではない)。

結果として、研究や勉強にあてられる時間がどうしても少なくなるわけです。

勤務医との環境のちがい

時間的な制約以外にも、開業医が最新の医療にキャッチアップし続けていくことが困難な理由があります。

医師が勉強する方法は、「知識」と「手技・技術」でまったく異なります。

医療に関する最新の「知識」を得る方法は、とにかく文献を読むことにつきます。

医学論文を読めば、薬Aと薬Bを比較したらこうだった、このような患者さんにこんな治療をしたらこういう結果になった、などなど最先端の知識に触れることができます。

あるいは、エビデンスのしっかりした論文の集合体でもある、参考書・教科書を読むことでも知識は身につきます(最先端から数年遅れにはなりますが)。

これらは幸い、ウェブの発達によってどこでも読めるようになったので、開業医であっても簡単に手に入れられます。

では何が問題かというと、良い論文を教えてくれる目利きが周囲にいるかどうかという点です。

医学論文は日々大量に公開されていて、本当に玉石混合です。つまり、良質な論文を探すこと自体に時間がかかるのです。

病院の勤務医であれば、院内の勉強会で良質な論文に触れたり、他の先生から読んでよかった論文を教えてもらうことができます。

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