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働かせるが定住はダメ…政府が「技能実習の延長版」創設へと動く狙い

労働力不足への焦りが国を歪ませる
望月 優大 プロフィール

「技能実習」が抱えるいくつもの問題

3番目に人数が多いのが、今回の話題に大きく関連する「技能実習」だ。

製造業と建設業で働く者が全体の76%を占めるため、留学生と違って日常生活ではその存在がなかなか見えづらい。

建前上は、アジアの途上国から先進国である日本に「技能を学びに来ている」ことになっているが、実際には労働力不足の受け皿という側面が非常に強い。

農業や漁業、介護など日本人の労働力不足が叫ばれる様々な業種においても技能実習生たちは働いている。

問題なのは、彼らが日本に来る際に必要な費用を払うために多額の借金をしている場合があり、加えて転職が不可能であるという条件のため、あてがわれた企業との関係で彼らが構造上非常に弱い立場に置かれてしまうのである。

結果として、その弱みにつけ込んだ最低賃金違反、手当の未払い、強制帰国など、技能実習生に関する残念なニュースは枚挙にいとまがない。近年は実習生の失踪が急増し、過労死についても報じられている。

 

しかしと言うべきか、さらにと言うべきか、こうした状況が報じられているにも関わらず、むしろコンビニ業界など産業側からは技能実習の「対象職種」拡大が要請されている。昨年11月には介護業種への拡大が実際に行われた。

〔PHOTO〕gettyimages

「技能実習の延長版」というアイデア

押さえておくべきは、今回政府内での検討が報じられた「特定技能」という在留資格が、この悪名高い「技能実習」を前提とした「技能実習の延長版」とも言うべきアイデアだということだ。

要するに、「技能実習」の期間(2016年に最長3年から5年に延長:参照)を終えた後に、さらに最長5年間の「特定技能」への切り替えを可能にするというのだが、現時点で見る限り後者は前者にとてもよく似ていて違いを把握する方が難しいのである。

転職の可否などまだ方向性が明らかになっていない論点もあるが、いずれにせよ5年の技能実習が前提というポイント自体は残るだろう。

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