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ひとり親家庭が入学シーズンに直面する、ある死活問題

過去には母子家庭の無理心中未遂も…
赤石 千衣子 プロフィール

自治体も困窮する世帯の子どもたちの入学時の経済的な困難を放置してはいけないと考えるに至ったのだろう。平成30年度には半分近くの自治体が小、学校入学前支給を検討していると文部科学省の調査で答えた(平成29年12月15日文部科学省「就学援助実施状況等調査」の結果について)。

こうした変化は、入学時の援助を行っている他の団体と協力して、ニーズを掘り起こしその声を届けた成果とも考えている。

しかし、こうした制度自体を知らない保護者もまだまだ多く、特に大都市圏以外では周知率が下がる傾向にある(セーブ・ザ・チルドレン「東北沿岸部における、経済的に困難な状況下の子育て世帯への調査結果」によると就学援助を必要と思われる世帯のうち利用していない、分からないと回答した世帯のうち約4割が就学援助制度を知らなかったため利用していなかったという)。

周知とともに、利用に関するハードルを下げるような工夫――たとえば、学校の教室で就学援助制度の説明・申込書を全員に配布し、申込みの有無にかかわらず全員から回収するなど――、スティグマが生じない方法を考える必要がある。

〔PHOTO〕iStock

誰を対象とし、誰を排除するのか

高級ブランドのランドセル、デザイナーズブランドの小学生の制服などが話題になった。

先ごろ「所得の多い家庭の子どものほうが、よりよい教育を受けられる傾向」について「当然だ」9.7%、「やむをえない」は52.6%で、格差を容認する保護者は計62.3%となった(朝日新聞社とベネッセ教育総合研究所が共同実施した「学校教育に対する保護者の意識調査」による)。

 

もちろん、個々に高級な服、個別塾、早期教育など子どもにお金をかけていくのはその家庭の子育てや教育方針なので、よしとしよう。実際はそうした流れの中で低所得であっても塾に行かせるために困難を増している世帯があるのも知っている。

ただ、公教育の場では、高額のものを必要とする方針が誰を対象とし誰を排除するのかを常に考慮した選択が必要だ。入学時の制服代や体操服はそうした費用のひとつ。

さらに、卒業時の謝恩会の会費や、卒業アルバムの作成費等々、本来すべての親子が参加できたほうがいいものであっても、高額化が進んでいる。

学校のマーク入りの体操服が高額化した場合に年収200万円の世帯は支払えるのか等々、考えるべきことはたくさんある。

こうしたことを公教育の場では考慮することが当たり前の潮流をつくっていくことで、だれでもスタートラインにつける教育が実現するのではないか。

赤石 千衣子(あかいし ちえこ)
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長。シングルマザーの就労支援、相談支援等々を行っている。著書に『ひとり親家庭』編著に『シングルマザー365日サポートブック』などがある。『教育費サポートブック』2000冊無料キャンペーンを実施中。http://www.single-mama.com/education-reader2018/