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物理の授業でミサイル登場…北朝鮮「エリート中学生」驚きの教育内容

インターネットは知らないけれど
鴨下 ひろみ プロフィール

教科書の中で金正恩を讃える際に目立つのは、子供たちへの深い愛情を示すエピソードで、各学年で紹介されている。ただ、祖父・金日成や父・金正日とは違い、「金正恩の革命業績」として金正恩の名前を付けた科目はまだない。

幼稚園からずっとこういう形で指導者や党への忠誠と、社会主義的道徳観を叩きこまれる北朝鮮の子供たち。金正恩への個人崇拝が簡単には揺るがないのも無理はない。

 

科学エリート養成

金正恩が特に力を入れているのが、科学エリートの養成だ。

北朝鮮の核・ミサイル開発を支える理系の英才たちがどのような教育を受けているのか、その現場を取材した。

我々が案内されたのは「金正恩元帥様、ありがとうございます」と書かれた看板が掲げられた白い建物だった。ここ平壌第一中学校(以下、平壌一中)は、北朝鮮全土から選抜された優秀な学生が集まるエリート養成校である。

金正恩は幹部らに与えた指示をまとめたマルスム=お言葉の中でも、平壌一中に何度も言及し、中等教育における最高レベルの教育機関となるように指示している。金正恩が最も重視する学校なのだ。

♪タンスメ、タンスメ~、タンスメ!!(一息、一息、一息にやるぞ!!)

校内に入ると、学生たちが元気いっぱいに金正恩を讃える歌を披露し歓迎してくれた。

平壌一中では金正恩の命を受け、科学や物理、コンピューター教育に力を入れている。このため、理科系を熱烈に志望する学生がたくさん集まることでも有名だ。

校長によれば、卒業生のほとんどが金日成総合大学、金策工業総合大学など北朝鮮の名門大学に進み優秀な成績を収め、大学卒業後は科学者として活躍しているという。国のために大きな仕事をする人材を多数輩出している、というのが自慢のようだ。

10階建ての本校舎の中に入ると、正面には金日成と金正日の肖像画が掲げられていた。理系教育を重視する学校らしく、コンピューターを学ぶ子供たちの姿が描かれている。実はこの学校、金正日が6年間学んだ母校でもあるのだ。

平壌一中で使われている化学の教科書(写真:フジテレビ)

中学から高校まで6年間の一貫教育で、訪問時(2015年10月)は1200人の学生が学んでいるということだった。

学生たちに将来の希望を聞いてみた。

「敬愛する金正恩元帥様に喜びを与えられる人になりたい」

「我が国を輝かせる科学者になりたいです」

「人工衛星を発射する研究者のように、国の科学を発展させる研究者になりたいです」

「勉強して国の名誉を世界に示す人になりたい」

ほとんどの学生が判で押したように、科学者になって金正恩を喜ばせたい、国の威信を高めたいと答えた。

教室をのぞいてみると……。生徒たちが真剣な顔つきで勉強中だった。机の上にはノートや教科書が何冊も積み重ねられている。ノートにはびっしりと化学式が書かれていた。理系の分野ではかなりハイレベルの授業を受けているようだ。