〔PHOTO〕iStock
企業・経営 生命科学 日本 アメリカ

低価格化で過熱「米国・遺伝子検査ブーム」がまもなく日本にやってくる

DTCを巡る業界の動きが活発化

米国で一般消費者向けの遺伝子検査サービスがブームを迎えつつある。

この分野の草分け「23andMe」をはじめ、5つの主要業者のユーザー数は昨年から急増し、全体で1200万人以上に達した(図1)。つまり(総人口が約3億人の)米国では、既に25人に一人が遺伝子検査サービスを利用していることになる。

図1)米国の遺伝子検査サービス5社のユーザー数推移(出典:http://thednageek.com/dna-tests/

低価格化でブレーク

こうしたサービスでは、一般消費者に手頃な価格で遺伝子(DNA)検査用のキットを通信販売。これを購入したユーザーが、キットに含まれている小型容器に唾(つば)を吐き入れて、提供元の業者に返送する。

業者はユーザーから送られてきた「唾」に含まれるDNAを、「DNAマイクロアレイ」と呼ばれる専用装置で分析し、特定の病気や体質に関係すると見られる遺伝子、さらにはユーザーの先祖関係などを洗い出す。これら分析結果を、ユーザーは自分専用のパスワードを使って、業者のホームページから見ることができる。

「23andMe」の検査キット〔PHOTO〕gettyimages

この種の遺伝子検査サービスは一般に「DTC(Direct to Consumer)」と呼ばれ、それ以前から医療機関や大学などで実施されてきた専門的な遺伝子検査サービスとは異なる。

米国におけるDTCの小売価格は(プランに応じて)100~200ドル位だが、最近は数十ドルで提供する業者も出てきた。こうしたサービスの低価格化と共に、昨年辺りから各社が大量の広告費を投入し始めたことがユーザー急増の主な理由と見られている。

信頼性の問題から規制対象に

ここに来て漸く人気の出始めた遺伝子検査サービス(DTC)だが、それまでの道のりは険しかった。

米国でDTCの草分け「23andMe」が設立されたのは2006年。当初こそ、各界の著名人を広告・宣伝に起用するなどして利用者数を伸ばしたが、間もなく壁にぶち当たった。遺伝子検査サービスの信頼性(精度)に対する、根本的な疑問が投げかけられたのだ。

たとえば米ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、23andMeを含む3つの業者が提供する遺伝子検査サービスを使ってみたユーザーが、異なる業者ごとに全く異なる検査結果を提示された。

つまり、ある業者の分析結果では、「リューマチ」と「乾癬(かんせん)」にかかるリスクが極めて高いと判定されたのに、別の業者からは同じリスクが極端に低いと判定された。他にも幾つか、ちぐはぐな検査結果が見られたという。

この理由について、医学や遺伝学の専門家らは「多くの病気は多数の遺伝子や環境要因が複雑に絡み合って発症するものだが、現在の遺伝子検査サービスでは、そのうちのごく一部をチェックしているに過ぎない。しかも業者によって、チェックする遺伝子が異なっている場合もある。この程度のものを医療・健康サービスとして提供するのは危険であり、むしろ一種のエンターテイメントとして提供すべきだ」と語っていた。

新生・ブルーバックス誕生!