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大学時代に堕した子供「産んどきゃよかった」と後悔の35歳不妊女子

A子とB美の複雑な感情【29】

元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第15試合「子あり・子なし」対決のAサイド。

今回のヒロインは、30代にして優良物件の旦那様を捕まえたリア充女子。仕事も夫婦関係も順調だけど、35歳を過ぎてもなかなか妊娠しなくて焦っています。

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先延ばしにしているうちに生殖機能が衰える

思えば女の一生は、妊娠を心配する10代20代に次いで、不妊を心配する30代40代が始まり、子供ができない身体になって終わる。高校生や大学生は基本的に生理が遅れるたびに、酔って甘かった避妊を後悔し、妊娠検査薬を天にかざして祈り、遅れてきた生理に安堵の涙を流して生きている。

それは社会人になったところでそうは変わらず、特に内定中や入社直後は、せっかく大企業に受かったのに今妊娠したら台無し、と焦っているし、3年目くらいになったらなったでやっと仕事に慣れ、少しは大きな仕事も任されるようになったのに今妊娠したら台無し、とやはりヒヤヒヤしている。

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そして「落ち着いたら」「もう少し貯金ができたら」なんて先延ばしにしていても、給料が減って仕事が増えたこのバブル以降の時代に仕事が「落ち着く」ことも貯金が「増える」こともあまりなく、気がつけば会社ではそうそう簡単に抜けられない責任ある立場を押し付けられ、しかも仕事は入れ込んでやれば結構楽しく、女の生殖機能がどんどん衰えていることに気がつかないまま、まだ早い・今は無理を繰り返し、気づけば30代後半に突入していることすらある。

 

低容量ピルが一般的な女性の間でもかなり定着し、中絶件数が減っているのはある意味で喜ばしいっちゃ喜ばしいのだろうが、避妊知識とピルが広まったことで、もうできちゃったし堕すの嫌だしタイミング悪いけど産んでしまえ、という結果オーライな決断も減っているような気がする。みんなしっかりピルで生理と避妊を管理して、まだ早い、今はだめと思えばきちんと望まない妊娠を避けてしまえる。

実際、未婚の女と話していても、一生子供はいらないという女は少なくて、旦那がいらない、と考えていても子供はいつかは欲しいと思っているのが普通で、けれど私も含めて同級生たちはついに今年、「今から急いで妊娠しても高齢出産」の年齢に差し掛かってしまった。

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