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全国に急拡大する「子ども食堂」に、いま圧倒的に足りないもの

「子どもの貧困対策法」成立から5年
大西 連 プロフィール

「子ども食堂」が急速に普及したことにより、ある意味「玉石混交」の部分もあり、実施主体もさまざまな特色がある。そして、質をあげるための取り組みとして前述のようなプロジェクトもスタートした。

このことは、多くの市民が「子どもの貧困」について何とかしなければ、と思い、もしくは、地域づくりの拠点として何かできればと、取り組み始めたことの証左である。

そして、そういった地域で芽吹いた苗をどのように強くたしかなものにしていくか、というフェーズに入ってきている、という見方もできる。これは、とてもポジティブなことだろうと思う。

〔PHOTO〕iStock

「子ども食堂」運営の課題とは

一方で、4月4日の西日本新聞に興味深い記事を見つけた。

記事では、運営資金やスタッフの確保などの「大人の都合」によって、開催していた「子ども食堂」を閉じざるを得なかった団体等が一定程度存在していることが報じられている。

これは、とても重要な指摘である。こういったボランティアベースの活動の場合、持続的な運営ができるのかどうか、というのは大きな課題になるだろう。

当然だが、子ども食堂の開催にはそれなりにお金も必要だし、ボランティアベースの場合は、定期的にコアで関わってくれるスタッフ等の存在は必須だ。

 

例えば、月に1~2度の活動であったとしても、以下のようなものは最低限確保しないと持続的には活動をおこなえないだろう。

・場所(無償提供の場合は持続的に貸してもらえるかどうか、借りる場合はその費用)
・人(ボランティア体制なら人件費はかからないが、定期的に関わるコアメンバーの確保は必須)
・食材(寄付で全部調達可能なら費用はかからないが管理や貯蔵・在庫整理等は必須、購入する場合はその費用)
・その他必要な費用(宣伝、備品、保険等)

子ども食堂安全・安心向上委員会によれば30万円以上も「持ち出し費用」が発生してしまっている「子ども食堂」もあるということだ。持続させていくためにはある種の「事業」であると捉えて、仕組化していくことも必要になってくるだろう。

特に、人に関しては、今はコアメンバーがいたとしても、家族の状況や仕事などさまざまな環境の変化により、定期的に関われるメンバーというものは、特にボランティアベースであれば持続的に確保することは難しい。

また、代わりばんこに関わるメンバーが毎回入れ替わってしまうのも、子どもたちとの関係性を作っていくという意味では効果的ではないだろう。結果的に、一部のコアメンバーのコミットメントは高くなってしまう。

これを解決する一つの方法は、人件費をつけて仕事として子ども食堂を運営する人をつくっていく考え方でもあるが、月に1~2回の運営の頻度で人件費をつけることは現実的でないことが予測される(運営の頻度が高い事業内容ならその限りではないが)。

運営の頻度が少ない場合、すでに子どもへの支援や福祉的な活動をしているNPOや社会福祉法人等による彼らの通常活動の延長としての「子ども食堂」という形になるだろう。

その良さは、持続可能性を担保できることや支援の専門性が高いことでもあるが、一方で、「ふつうの人たち」が担い手ではなくなってしまう。

「子ども食堂」が短期間で2200ヵ所にも急速に展開したのは、「誰でも始められる」ということが非常に大きな理由だといえよう。

しかし、いま新しい課題として、「子ども食堂」の質をどうあげていくか、ということと、持続的に運営していく仕組みをどのように作ることができるのか、というものに直面している。そして、これから直面していくだろう。

前者については、同委員会のクラウドファンディングのように、安全・安心を担保することができるような取り組みの拡大によりその向上を目指していくことで補完できる可能性がある。

では、後者にはどのような方法があるだろうか。