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生命科学

海洋生物の「アソコ」はこんなにスゴい!体長の3分の1って…

ミサイルのように突き進む

交接器を発射するタコ

陰茎、ペニス、イチモツ、男根―オトコのアレを表現する言葉はまことに多様だが、大きさや硬度、かたちもまた生物によって千差万別だ。ただ、目的はどれもひとつ。精子を放出して子孫を残すことにある。

特に海洋生物のオスは、それぞれユニークな生殖器を使い、連綿たる遺伝子のリレーを今日まで続けてきた。

たとえば貝虫の仲間は、体長の3分の1にもおよぶ長さのペニスを2本も持つ。おまけに精子の長さは体長の10倍だ。身長180cmの人間が60cmのアソコを2本ぶら下げ、スクールバスほどの長さの精子を出すとたとえると、その特異さが伝わるだろう。

ほかにも自分の体長と同じくらいまでペニスを伸ばせるイカや、男性器をフェンシングのように戦わせ、勝者が相手の体内に精子を送り込む雌雄同体のヒラムシといった生物も海中には存在する。

もっともユニークなのは、アオイガイというタコの仲間だろう。その名のとおり、アオイガイのメスはタコでありながら、2枚の巻貝状の「外套膜」で柔らかい身体を守っている。

アオイガイの貝殻(Photo by iStock)

メスの体長は45cmほどまで成長するのに対して、オスはせいぜい4cm程度。メスは立派な外套膜を持つが、オスにはないため、不憫にもすぐに捕食されてしまう。

そんな彼らの生殖方法はまさに「捨て身」だ。アオイガイのオスは、意中のメスに近づくと、体長よりも長い「交接腕」を身体から切り離し、その場から去る。

 

アオイガイの男性器たる交接腕はメスに向かって、ミサイルのように突き進む。これがメスの外套膜の下に刺さると精子が送り込まれ、受精が完了するのだ。

かつて研究者のあいだでは、メスの外套膜に挟まったペニスは「寄生虫」とみられていた。そして、なぜアオイガイが精子だけでなくペニス自体を「発射」するのかはいまだに解明されていない。というのも、オスは交接腕を発射したあと、すぐに死んでしまうからだ。

愛するメスのために、命を投げ打って生殖に励む。なんて切ない最期だろうか。(嶋)

『週刊現代』2018年4月21日号より

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