規制緩和・政策 週刊現代

民営化した大阪メトロが「今のところは成功している」と言えるワケ

良し悪しの分岐点はこう見よ
ドクターZ

以上の定義を、日本の民営化議論に応用してみよう。経済の発展段階の初期においては、私的財にあたるものも国が供給していた。たとえば鉄鋼業はもともと官有官営だ。だが日本では徐々に、払い下げや政府株の放出によって民営化が進められていった。一方、公共財では民営化の議論が起こりづらい状況にある。

問題は、クラブ財とコモンプール財の「準公共財」とよばれる2つだ。これらの民営化については、その財の性質が公共財と私的財のどちらに近いかで、さまざまな民営化手法が用いられる。民有民営にするのではなく、官有民営なども検討し、公共財と私的財のバランスを図る必要があるのだ。

 

このバランスがうまく取れたものが「いい民営化」で、下手なものが「悪い民営化」だ。民営化がうまくいけば、サービスが改善するうえに価格も据え置けるが、悪い民営化では価格ばかり上がるようになる。

冒頭の大阪メトロでいえば、当分のあいだは官有民営を取るという。実はこの地下鉄の民営化構想は10年以上前から進んでいたものだが、それにともなって駅内トイレの改修などサービスの向上が図られ、経営も改善している。民営化の成果はすでに現れているのだ。

いまのところ、大阪メトロの民営化はいい方向へ進んでいるが、実際のところ、「いい民営化」となるようにバランスを取るのは非常に難しい。大阪メトロが今後のロールモデルとなるように期待したい。

『週刊現代』2018年4月21日号より

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