国際・外交 世界経済 中国 アメリカ

北京を訪れて分かった「中国はいま開戦前夜の真っ只中」という現実

彼らはどうやら本気のようだ
近藤 大介 プロフィール

・2002年から2017年までの15年の間に、アメリカから中国への輸出は、220億ドルから1300億ドルへと、約5倍に増えた。いまやアメリカにとって、カナダ、メキシコに次ぐ第3の輸出市場だ。

・2017年、中国はアメリカにとって第2の農業品の輸出先となり、196億ドルに上った。うち63%が大豆だ。アメリカで生産した大豆1億1952万トン中、3286万トンが中国に輸出されている。生産地の95%以上が、イリノイ州、アイオワ州、ミネソタ州などの中西部10州で、うち8州が共和党の州だ。また、豚肉も11億ドル分購入しており、アメリカにとって3番目の市場だ。

・2016年、300万人の中国人がアメリカを旅行し、330億ドルを消費している。

・2017年、中国はボーイング社が製造した航空機の26%にあたる202機を購入している。かつ、今後20年で7240機も買う予定だ。

・中国は、アメリカ国債を1兆1800億ドル分も保有している。アメリカ経済を崩壊させるには十分な額だ。

 

・年初、1ドル≓6.60元だったのが、いまや6.30のラインを割って、6.28まで来てしまった。これは1985年のプラザ合意の円高誘導で日本経済を潰したのと同じパターンで、注意しなければならない。

・中国は、貿易戦争による資本流出、貿易閉塞、金融混乱の3点を、特に注意すべきだ。

・2017年の中国の豚肉販売量は5340万トンで、うちアメリカからの輸入分は16.6万トン、0.3%しかない。アメリカ産が減っても何も困らない。

・鉄鋼に関しては、2017年に中国からアメリカへの輸出は118万トンしかなく、国別で11位だ。しかも過去10年で78%も減っている。なぜトップのカナダは25%の追加関税を免れて、11位の中国が標的にされるのか理解不能だ。

・2017年の中国のGDPは、消費の割合が58.8%で、輸出は9.1%に過ぎない。アメリカ向け輸出が減っても、国内消費を増やしていけば問題ない。

・ドイツ、フランス、日本、韓国、オーストラリア、トルコなど、自由貿易陣営に立つ「戦友」を増やしていけばよい。

・アメリカ向きは、2017年の中国の貿易額の14.1%にすぎず、5900億ドル程度だ。また、中国企業の対外投資額は約1200億ドルだが、うちアメリカ向けは78億ドルで、全体の6.5%にすぎない。

以上である。

* * *

北京へ行ってきて思ったのは、今回の米中貿易戦争は、アメリカモデルと中国模式の、どちらが21世紀の国家の標準モデルになるのかという大きな命題を孕んでいるのではということだ。

つまり、もしもアメリカが白旗を揚げ、中国が勝利した場合、世界の少なからぬ国が、「政治は独裁で経済は市場経済」という中国模式を目指すのではないか。

いずれにしても、トランプ大統領はとんでもない「パンドラの箱」を開けてしまった。

アメリカと中国とロシアの3大国が暴走する時代が始まった。どうぞご高覧ください!

新生・ブルーバックス誕生!