中国

「精日(精神的日本人)」が急増中…中国若者の日本愛はここまで深い

「艦これ」で日本に惚れました
古畑 康雄 プロフィール

多数派ではないけれど

――中国国内の精日、親日現象をどう思う?

「観光ビザ発給条件が緩和されて以来、多くの中国人観光客は日本の文化と生活スタイルに惹かれ始めている。一方、尊大な『自国自賛』の教育に反発し、日本のアニメに影響を受け、美しい日本に憧れる人(特に若者)はどんどん増えている」

「だがそんな彼らもすべてが日本で暮らすことはできないから、せめて日本の標準に合わせて礼儀正しくし、人を敬おうと心がける。このような『知日派』中国人は日中友好の主流で、『精神的日本人』というよりも『民度が高い中国人』と呼ぶべきだろう」

そして最後に「ある国を好きか嫌いかは、その人の自由ではないだろうか。その気持は尊重すべきだ。日本の政治家は、首相でも外務大臣でも、国民の服装を批判したりしない。たとえその人が『中国人民解放軍駐日部隊』の軍服を着ていてもだ。このような自由と寛容が、私が精日である理由の一つだ」と答えてくれた。

この「中国人民解放軍~」はこのような軍服姿の若者が日本でコスプレやサバイバルゲームをしていると中国のネットでは紹介されている。

飛鳥さんのような日本への熱愛と絶賛をあからさまに示す人は必ずしも大多数ではないのかもしれない。だが、彼が指摘するように日本への旅行を通じて、日本社会や文化、生活様式にじかに触れ、中国国内で持っていた日本イメージを大きく変えたという中国人は多い。

先日、来日した友人で著名コラムニストの賈葭も、「中国政府はメディアを通じて日中関係は良くないと伝えているが、日本への旅行者数はますます増えている。日本に来れば人々は交通ルールを自覚的に守るようになる。日本旅行が最も多く、最も親日的と言えるのは上海で、上海人は最も文明的だ」

「『精神的日本人』とは文明的なものへの自然な要求であり、礼儀正しさやルールを守ることを日本から学んでいる。『精日』という言葉はこうした人々に汚名を着せるものだが、彼らは全く気にしていない。(批判する人とは)信じている価値観が全く違うと考えているからだ。こうした世代が今後社会の主流になっていくのだから、『精日』は非常にいい現象だと思っている」と語った。

 

反日デモ、2012年以降起きていない

中国では抗日ドラマに見られるように、反日は依然共産党の愛国イデオロギーの大きな支柱となっている。

「精日」に関する外相の発言やメディアの宣伝もこうした背景のもと、日本を正当に評価することが、中国の現体制への批判につながることを警戒したものと考えられる。

だが賈葭によれば、かつて頻発していたような大規模な反日デモは2012年9月以降、中国では発生していない。彼は「日本は中国の政府系メディアの宣伝を気にする必要なない、訪日観光客が年々増加している『実質』を見るべきだ」と述べた。

現在は中国人向けに日本の不動産の紹介ビジネスも手がけている彼は「自分が連れてくる、初めて来日した中国人で日本の悪口を言った人は1人もいない。そして『日本に家を買いたい』と言う(笑)。中国の富裕層にとっては日本の信望は非常に高い。むしろ日本に住みたいという中国人が増えすぎて、日本人と摩擦が起きるのではないかと心配している」と語った。

娘さんを日本に留学させた筆者の友人も、最近公務員をしているという若い女性に『精日』についての見方を聞いたとして、メールで次のように答えてくれた。

「彼女は、自分は中国も愛しているし日本も愛していると語った。これはどちらか一方を選ばなければいけないというものではなく、対立しない。彼女は、『精日』を批判するのは世論を抑えつけようとするもので、この言葉に汚名を着せ日本が好きな人にそれを公言させないようにするものだと批判した。

国家の指導者はもっと勇気や自信を持って世界に直面し、文明と進歩を選んでほしい。このような正常な感情と良知、正義感がある若者を見て、未来に自信を抱いている」

「おもてなし」で知日派育成を

こうした中国人の発言からはっきりと感じ取れるのは、日本社会や文化が一定の経済、文化水準にある中国人の間では、高い評価を得ていることだ。

これは台湾で言われる「日本精神」と共通点がある。「勤勉、正直で約束を守る」などの日本人が残した美点は、今でも台湾で評価されている。

中国での「精日」は、日本の軍服を着た一部の中国人による歪んだ「日本愛」ではなく、むしろ両国の交流を通じて中国に広がりつつある、新しい価値観だと言えるのではないか。

以前から言っていることだが、我々は彼ら新しい知日派を積極的に支援し、日本をより客観的、多面的に知ってもらう必要がある。

私事だが、先日メディア関係のシンポジウムで香港に出かけた際、知り合った若い中国人夫婦が先週日本旅行に来た。

大阪から京都、箱根、東京と回る慌ただしい旅行だったが、微信で連絡を取り合い、浅草の浅草寺を案内し、一緒に焼き鳥を食べ、新宿の家電量販店での買い物に閉店時刻まで付き合った。

彼女たちの微信を見ると、京都の古風な町並みの中で和服を着た記念写真などを載せ、箱根では温泉に入るなど、日本の雰囲気に満足している様子だった。彼女たちにとって初の日本旅行が良い思い出となり、日本好きになってくれるよう、自分も微力ながら手助けしたつもりだ。

我々日本で暮らす一人一人が、日本が中国やアジアの国々から見習いたい、訪れたい国として見られていることを自覚し、おもてなしの気持ちを持って彼らに接していけば、無知や洗脳による「反日」は鎮まり、より穏やかな関係を築けるのではないだろうか。

(本稿の内容は筆者個人の見解であり、所属団体を代表するものではありません)