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金融・投資・マーケット

世界経済を揺るがす「トランプニュース」とビットコインの意外な関係

関係というより「無関係」!?

「トランプ・ニュース」にも動じないビットコイン

ドナルド・トランプ米大統領に関するニュースを見聞きしない日はないだろう。彼の「つぶやき」は、全世界に轟いている。メディアは頻繁に彼の発言に反応し、その言葉はときに、株価さえも動かす。

しかし、世界がトランプの言葉に揺り動かされているかのように見える中、例外も存在している。実は、ビットコインは、トランプの言動に反応しないのだ。

データを見る限り、少なくとも現時点まで、絶え間ないトランプ・ニュースの嵐にもビットコイン相場は影響を受けていない。

この現象に、なぜ注目すべきなのだろうか? それは、ビットコインがトランプ・ニュースに反応しないことが、政府や中央銀行に頼らないデジタル通貨であるビットコインが、いかに独自の世界を築いているかを、端的に示唆しているからだ。

 

金融市場に影響を及ぼすその他のニュースの場合にも、ビットコインに既存の金融商品と同じようなインパクトを与えてはいない。このことを深く理解すれば、逆に何がビットコイン相場に影響を及ぼすのかを把握するのに役立つだろう。

たとえばここで、米株式市場を見てみよう。トランプは株価の上昇を自分の手柄にしたがり、米メディアは、良くも悪くも株式市場が「トランプがらみの出来事」によって動いていると報じることが多い。2018年3月、米TV「CNN」は、トランプ政権が鉄鋼やアルミニウムの輸入に関税を課すだろう、という報道を受ける形で、「ダウ平均株価は、トランプの鉄鋼・アルミ輸入関税の発表で、400ポイント以上も下落」と大々的に報じている。

2017年、S&P社500種株価指数とビットコイン価格は上昇したが、具体的な値動きは違った要因によるものだと分析できる。次のグラフはトランプ現象が、S&P500指数とビットコイン相場に与えたインパクトを比較したものだ。2017年の、象徴的な出来事が起こった日の数値を見ると、トランプ報道がS&P500指数にささやかな影響を与えてきたように見える。だが一方で、ビットコインには違った影響を及ぼしている。

ビットコインとS&P500指数は、正反対の方向へ動くことさえあった。2016年の大統領選挙まで続いた大きな不確実性によって、株式市場では混乱が引き起こされたが、ビットコイン価格には明確なインパクトはなかった。トランプ就任後、S&P500指数は0.34%上昇したが、ビットコイン価格はかえって、0.71%下落している。

2017年5月には、さらに劇的な株式市場とビットコインの分断が現れた。トランプがマイケル・フリン国家安全保障担当補佐官(当時)に対する捜査を打ち切るよう求めたと記された、FBI(米連邦捜査局)のジェイムズ・コミー前長官のメモに関する報道を受け、S&P500指数は急落した。

このニュースはトランプ政権にとっては痛手であり、S&P500指数は2%近くも下落したが、同時期にビットコイン価格は5%近く上昇している。

9月25日、S&P500指数はわずかに下落したが、これは明らかに北朝鮮との対立激化を受けての反応だった。一方でビットコインは正反対に動き、価格が9%も跳ね上がった。もちろん、少数ながらいくつかのケースでは、トランプが間接的にビットコイン価格に影響を与えたこともあったかもしれない。米政府に失望したり、あるいは北朝鮮との戦争を懸念して、ビットコインを購入した人もいた可能性はある。