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「大安売り」に手を出した瞬間、あなたのお店はつぶれるかもしれない

「バーゲンセール」は麻薬なのだ

「大安売り」という一手は、経営者や店長にとって魅力的にうつりがちだ。しかし、セブンイレブン最年少取締役、ampmジャパン社長、ファミリーマート商品本部長を歴任し、大ヒット商品を作り続けてきた本多利範氏によると、それは大きな間違いだという。最新作『売れる化』を著した著者が指摘する「安売りの問題点」とは――。

売れないのはなぜ?をもう一度考える

新商品として入荷したのに、なかなか売れない品があります。そのような場合、どうすればいいのでしょうか。

売れる品は在庫を多く持ち、売れない品は徹底して置かないというのは商売の基本です。

しかし、売れない新商品の場合、すぐに「この商品は売れなかった」と諦めるのは危険です。

商品をカットすべきかどうか、決断を下す前にもう一度よく考えてみてください。その商品は、はたしてお客様の目に入るよう工夫を凝らし、細心の注意を払って置き場所を考えられたでしょうか。

店の人間にしてみれば、新商品が入ったことはよくわかっていることです。けれども、細かい商品が何千とある店舗の中で、はたしてお客様は何が新商品で、何が既存の商品か、すべて理解しているでしょうか。

新商品をただ既存の商品の隣にポンと置いただけでは、そもそもお客様の目には留まっていない可能性も高いのです。

 

商売の基本中の基本ですが、新商品にはPOPを付け、目立つ棚を確保し、お客様の注意を向ける努力をすることが大切です。

また、陳列すべき商品数も大切です。

「売れるかどうかわからないから」と試しに五個置いてみたけれど、売れなかったというのは、本当にお客様の反応を試したことにはなりません。本当に売りたいのならば、フェースをとってずらりと並べなくては、お客様は気づきません。

書店を思い出してください。みなさんが書店に足を運んだ時、まずは棚にズラリと平積みされている新刊本から眺めるのではないでしょうか。

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そこを一切無視して書棚に一冊ずつ並んでいる背表紙から眺めていく、という人は珍しいと思います。

POPを付け、表紙を上にして何冊も積み上げてこそ、お客様への「売れています」「新刊本です」「お薦めですよ」という強烈なアピールになるのです。

売りたい商品、売れると自信を持っている新商品などの場合は、「試しに五個」などというおっかなびっくりの発注ではなく、きちんとした数を発注し、可能な限り面積をとって陳列し、「これが新発売の商品ですよ」とアピールすべきです。

また、売れてもすぐに補充できる十分な在庫数を確保することにも気を配ってください。せっかく売れたのに、夕方には欠品してしまったら、夕方以降に店に立ち寄られた方には、新商品の存在すらお知らせできないのです。

商品は、売り手の「絶対に売る!」という確固たる意志がなくては売れません。「買うかどうか決めるのはお客様」という他人事の発想では、漠然とした商品棚にしかならないのです。

そんな店ではお客様も何を買っていいのかわかりません。何が試すべき価値があり、何が店側にとっての自信作なのかも気づくことができないのです。

新規商品はその店にとっての〝刺激〟であり、お客様はそれを見つけた時の小さな感動を求めて来店されています。

〝刺激〟は、刺激として目立たせなくては、ほかの商品に埋没します。繰り返しますが、一定数以上の数を陳列し、存在をアピールすることで初めて、お客様の目には「売り場が変わった」と映るのです。

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