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安倍政権がいま、森友よりも日報問題よりも危惧しているもの

実は、米中貿易戦争こそが…

案の定、ロシアに接触した北朝鮮

燃え盛っていた森友学園問題は下火になってきた。代わりにという訳でもないが、今度は「陸上自衛隊のイラク派遣日報問題」が浮上している。それより私が心配しているのは、景気の先行きである。

森友学園問題については、先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55057)で「国会での与野党攻防はこれで峠を越えたとみていい」と書いた。野党が納得したはずもないが、さらなる厳しい追及の声は聞こえてこない。

なぜかといえば、前財務省理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の国会証言の後、新たな追及の材料が出てこないからだ。国会は3月27日の証人喚問後も森友学園問題をめぐって審議を続けたが、新ネタがないので新聞、テレビは大きく報じない。

とりわけ、昼間のテレビは「視聴率の数字がとれない」と分かれば、あっさり方向転換する。佐川証言をいくら取り上げたところで、視聴者は「キャラが立っていない官僚の同じ話」を面白いとは思わない。それで、あっという間に報道が減ってしまった。

先週書いたように、これ以上の真相解明は結局、検察の捜査に任せる以外にない。

 

イラク派遣の日報が発見された問題はどうか。昨年、大臣に「確認できなかった」と国会答弁させていた文書が「よく探したら見つかった」というのだから、お粗末極まりない。しかも昨年3月に発見していながら、大臣に報告していなかった。どうも、自衛隊には隠蔽体質があるようだ。

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)部隊の日報問題も「ない」と言っていたのが結局、見つかり、当時の稲田朋美防衛相の更迭につながった。文民統制は機能しているのか。ガバナンス(統治)に問題があるのは明らかである。

こんな状態を放置していたら、大臣が何人交代しても同じ問題が起きる。国民の信頼がなければ、実力部隊である自衛隊に国の平和と安全を守る仕事を任せられない。不祥事を機に、小野寺五典防衛相は徹底的な防衛省・自衛隊の体質改善を断行してもらいたい。

朝鮮半島では相変わらず、北朝鮮が活発に動いている。先週のコラムで「中国の次はロシアである。私は、正恩氏が次にプーチン大統領との会談を目指すとみる」と書いたが実際、その通りになった。北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相がさっそく動いたのだ。

李外相は4月3日、アゼルバイジャンでの国際会議に出席するため北京に入り「会議の後、ロシアを訪問する」と報じられた。李氏はロシア外相、あるいはプーチン大統領とも会談して金正恩・朝鮮労働党委員長とのロ朝首脳会談を下ごしらえするのではないか。

北朝鮮にとって、ロシアは中国と並んで重要な友好国である。正恩氏は4月27日に開催が決まった南北首脳会談、5月の米朝首脳会談を控えて、先の中朝首脳会談で得られた中国の支持に加えてロシアの支持も取り付けられれば、戦略的に有利な立場を確保できる。

正恩氏が「中国の習近平国家主席に述べた」とされる「段階的で同時並行的な朝鮮半島の非核化」という発言がどこまで信用できるかは措いたとしても、正恩氏が文字通り、生き残りをかけて活発に動いているのは間違いない。

北朝鮮国内から一歩も外に出ようとしなかった彼が中国を訪れ、いま外相をロシアに派遣して支持を求めようとしているのはなぜか。第一に「米国の軍事攻撃を避け」、次に、あと一歩で完成までこぎつけた「核とミサイル開発の時間を稼ごう」という狙いである。

米朝首脳会談の大勝負でトランプ大統領を納得させられなければ、事態は振り出しに戻って結局、軍事攻撃を招く可能性が高い。逆に、北朝鮮の一方的な核とミサイル放棄という事態になれば、国内での求心力低下、ひいては政変のリスクも出てくる。

だからこそ、正恩氏は中国とロシアの支持取り付けに必死なのだ。まだまだ事態は動くだろう。

 
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