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カルビーのカリスマ会長が電撃退任の理由を明かした

「顧問で残るのはみっともないですよ」

突然の退任が発表されると、株価は急落し、一時9%も下げた。それだけマーケットの信頼が厚いプロ経営者だった。後継者を指名しないままの辞任に無責任の声も上がる。カルビーのカリスマ会長、松本晃氏(70歳)にその真意をすべて語った。

 

やるべきことはやった

僕は最初から長く会長をやるつもりはなかったんです。創業家の松尾雅彦さん(カルビー元会長)に呼ばれて61歳で会長に就任しましたが、最初に社員の前で「私は4年しかいません」と何度も言っていましたから。

ところが、'11年に(東証1部に)上場してしまった。株価も上がる。業績も右肩上がり。なおかつ、あの『フルグラ』というおもしろい商品にぶつかった。

こんなにおもしろい仕事はないと思っていると、4年が5年になり、5年が6年になり、ついには9年。いくらなんでも長いんじゃねえの、と。去年、70歳になったので、いったんこのへんで一区切りつけよう、と思うわね。

こう話すのは、カルビー会長の松本晃氏。3月27日に突然退任を発表し、世間を驚かせた。松本氏はジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長を務めた後、経営手腕をカルビー首脳に見込まれて、'09年に会長兼CEOに就任。

トップに就くや、コスト管理を徹底しつつも、ドライフルーツが豊富に入ったシリアル『フルグラ』を大ヒットさせ、業績をV字回復させたカリスマ経営者だ。

そのカリスマが、カルビーを去る。辞任会見の翌日、その真意を横浜市内の自宅で60分にわたって語った。

カルビー会長 松本晃氏カルビー会長 松本晃氏 Photo by GettyImages

最初の7年間は業績がよかった。8年目はスローダウンして、9年目になる今年度は、最初にイモがなかったでしょう。前年の北海道のジャガイモが大不作で、作るものがなくて結構しんどかった。

それで今年の決算は相当苦労しました。今までの(伊藤忠商事やジョンソン・エンド・ジョンソンでの)サラリーマン生活の中でも、前の年より数字が落ちるというのは経験したことがなかったからね。それまでは力ずくでも上げてきた。

もちろん、変な操作はしませんよ(笑)。そういう美学を持っているから、悔しいことは悔しいけど、ただ、業績不振と退任はまた別の話です。

(区切りのいい在任)10年で辞めるという選択肢も、もちろんありました。しかし、ちょっと余力を残して辞めるほうがいい。本当は去年辞めたほうがよかったと思います。

去年だと辞めるときにはまだ69歳ですからね。60代と70代ではちょっと違うから、去年のほうがかっこよかったかな。

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