メディア・マスコミ

いまフェイスブックに求められるのは「メディアへの代価」の支払いだ

潮目は変わった

まったく物足りない説明

世界に20億人の会員を抱えるSNS(交流サイト)の巨人「フェイスブック(FB)」が、自らのビジネスモデルが吐き出す“毒”にやられて、危機に陥っている。

きっかけは米人利用者5000万人分の個人情報が不正に流用され、それを英分析会社「ケンブリッジ・アナリティカ(CA)」が“悪用”、米大統領選でトランプ勝利を演出したことにある。CAの内部告発者が「(FBの利用者が)どんな情報に騙されやすく、どんな情報に影響されるかを分析の上、効果的な情報を流した」と暴露、「民主主義を冒涜している」として批判を浴びた。

FB批判は激しく辛辣だ。アップル(apple)のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「顧客の私的な生活の詳細を他者が知る機能は、存在すべきではない」と語り、電気自動車大手「テスラ」のイーロン・マスクCEOは、FB騒動を受けて「フェイスブック、何それ?」と、ツイッターに書き込み、ロケット開発「スペースX」のFBページを削除した。

 

フェイクニュースの対策強化を進めている欧州連合(EU)は、CAに関する内部告発を受けて「フェイクニュース対策を強化する」と宣言した。また、今後、記事拡散の際に使用するアルゴリズムや、記事風に作成されたPR広告の情報開示を求める方針だ。

そして、メディア王のルパート・マードックは、「フェイクニュースの拡散で批判を浴びたFBは、信頼できる記事にもっと掲載料を支払え」と要求。月間読者1億3000万人のニュースサイト「バズフィード(BuzzFeed)」のジョナ・ペレッティ創業者は、「FBはニュースフィード(ニュースの配信情報)にもっと収益を還元すべきだ」と苦言を呈した。

FBのビジネスモデルが否定され、規制が強化されることを予見し、株価は急落。これまで米議会公聴会などでの証言をしてこなかったFBのザッカーバーグCEOは、議会証言をすることになった。

「おカネを払う余裕のない人にもサービスを届けるには、広告収入を支えにすることが唯一の合理的な事業モデルだ」

ザッカーバーグCEOは、メディアへのインタビューでこう述べ、理解を求めているが、広告業者として集めた情報が、人心を誘導、誤った方向に導くなど危うい側面が現れていることへの説明はない。

17年12月期に406億ドル(4兆3000億円)を売り上げたFBは、その大半を広告料に頼っている。広告主が代理店などを通じてFBにネット広告を委託するのは、情報精度が高く、自社商品・サービスの成約に結びつきやすいからだ。その精度をもたらしているのが、豊富な個人情報である。

FBは利用者にニュースや情報をタダで提供、その見返りに年齢、性別、住所などはもちろん、閲覧記録、通信記録、位置情報などを得ることで、その人間の趣味思考、性格判断、行動範囲などがわかる。さらに「いいね」と「共通の友人」を通じて、情報は次々に結ばれ、FBが英ケンブリッジ大学の心理学教授に渡した時に27万人分だった情報は、CAに不正流用された時点で5000万人分に膨れ上がった。

FBはプラットフォーマーとして利用者を徹底的に囲い込む。常時、ログイン状態にして情報を蓄積、他のプラットフォームに流れないようにするためで、飽きられないよう、あるいはライバルにならないように、売上高の半分が営業利益という収益力を生かして、ベンチャー企業を買収し抱え込む。

もうひとつの巨大プラットフォーマーのグーグル(Google)もそうで、ネット広告の6割以上を握る両社は、米国のIT振興を掲げた米国の成長戦略のなかで巨大化した。彼らを守ったのは、90年代に制定された通信品位法とデジタルミレニアム著作権法である。これにより、プラットフォーム上を流れる第三者情報には包括免責が与えられた。

つまり、動画や記事をプラットフォームに載せ、そこに違法性や著作権法などの法律違反があれば、罪に問われるのは投稿者で、プラットフォーマーは指摘された時点で削除すればいい、というものだ。

新生・ブルーバックス誕生!