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医療・健康・食 週刊現代

完全保存版・今なら治る「がん」まだ治らない「がん」生存率公開

20年でがん治療はここまで進化した 

「がんに、かかったら死ぬ」なんて考えはもう古い。最新の生存率をもとに、がんの新常識をご紹介しよう。

医者も驚く「生存率」の急上昇

「がんの生存率が改善しているということは、医師の間では『なんとなく』の共通認識でした。しかし、実際に数字を調べてみると、この20年ほどの間に劇的に生存率が上がっていることがわかったのです。驚くほどの改善でした。

かつて、がんは『不治の病』でしたが、そのイメージは大きく覆されつつあります」

日本の様々ながん情報を集約し、分析、検討している、国立がん研究センター。東京・築地にそびえるその一角で、同センター内の全国がん登録室長を務める松田智大氏はこう語った。

今年1月末、松田氏らが関わった研究が、全世界の医療関係者の注目を集めた。
それは、がんの「生存率」についての国際比較研究だ。

生存率とは、がんが判明してから5年後、もしくは10年後に、その患者が生存している割合のこと(以下、断りのない限り、「5年生存率」を「生存率」と呼ぶ)。

つまり、がんにかかった時に、どれだけ生き残ることができるのか、その目安となる数値だ。

日本人のうち、3割に近い人が何らかのがんで死ぬ。日本国民にとって、注目せざるを得ない数値でもある。

では、今回の研究、いったいどこが注目すべき点だったのか。松田氏が解説する。

「もともと今回の研究の目的は、他国と生存率の比較を行うというものでした。ただ、その中でひときわ目を引いたのが、ここ十数年の生存率の変化です。

'00~'04年にがんと診断された人と、'10~'14年に診断された人の生存率の変化が明らかになったのですが、食道、胃では6~10%、結腸、直腸などでは5~10%というように、様々な部位で大幅な生存率の改善が認められたのです。

あまりに良くなっているので、過去の生存率を見ると、数字の低さにギョッとするほどです」

 

もはやがんは「治る病気」になった――そう言えるほどに日本のがん生存率の向上は著しい。しかし、この研究では、どれほど生存率が改善したか、細かい数字は紹介されていない。

そこで本誌は、国立がん研究センターから膨大なデータの提供を受け、この20年ほどの間に、各部位のがんの生存率がどれほど変化したか、必要な資料を整理したうえでまとめた。

ページ末の表をご覧いただきたい。これは、各部位のがんについて、進行度別の生存率の変化を一覧できる表である。

たとえば、もっとも進行度の低いステージⅠの肝がんが判明したとしよう。20年前('93~'96年の診断)であれば、生存率は30.3%にすぎなかった。

しかし、最新の診断('06~'08年)での生存率は、45.8%にまで向上している。ステージⅠの食道がんが見つかった場合には、20年前なら55.2%だったのが、74.0%まで改善した。

すべての部位を総合しても、ステージⅠだと84.6%だった生存率が90.4%に、ステージⅡ~Ⅲだと43.2%が55.1%に、ステージⅣの場合でも、10.3%が13.6%に改善している。中程度の進行度であれば、10%以上の改善がある。

生存率がとりわけ高くなっている部位、ステージのがんは、表の背景の色を濃くしているので、どのがんで改善しているか、一目瞭然だ。

放射線治療の発展やMRIの登場、はてはAIによる診断の支援の進化などによって、かつて親や親族が亡くなった時代の「常識」はもはや古いものとなった。

それをもとに、がんを「不治の病」と捉え、「がんになったら終わり」などと最初から諦めていては、助かる命を捨ててしまうことになりかねない。

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