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ユニクロ、ゾゾを狙い撃つ「アマゾン・ファッション」の驚異的な戦術

日本のファッション界を揺るがす大変革
アマゾンが日本のファッション界に本格参入。ユニクロがその脅威にさらされ、ゾゾタウンが迎え撃つ。2018年アパレル大戦争の幕開けを『アマゾンが描く2022年の世界』の著者、田中道昭氏が読み解く。

*本連載の目次
(1)ジェフ・ベゾスの次の野望は「アマゾン・カー」の実現だった
(2)ユニクロ、ゾゾを狙い撃つ「アマゾン・ファッション」の驚異的な戦術
(3)アマゾンと激突必至のゾゾタウンが企む「2つの革命」
(4)あらゆるものを資産化する「メルカリ経済圏」のポテンシャル

品川スタジオをオープンした狙い

アマゾンジャパンのファッション事業部門のトップ、ジェームズ・ピータースは、「Amazon Fashion 東京撮影スタジオ」(以下、品川スタジオ)のオープンに即してこんなコメントを出した。

「私たちは常にお客様がオンラインでファッションアイテムを購入する際の体験を改善したいと考えています。このスタジオで撮影・制作される、より高精度な写真や動画によって、お客様にはサイト上でカラー、カッティング、サイズ感やテクスチャーなどを更に詳細にご確認いただけるようになります」

この品川スタジオがオープンした2018年3月15日は日本のファッション界にとって大変革が始まった日として、やがて記憶されることになるかもしれない。

品川スタジオは総面積約7500㎡をほこり、そこに11のスチール撮影室、5つの動画撮影室、2つの編集スタジオとヘア&メイクエリア、ライブラリ、ラウンジ、会議室が供えられる。そこから送り出されるのは年間100万本を超える商品画像や動画である。

その狙いはいたってシンプル。長らくECファッション界では商品のデザインの細部や、試着した上でのフィット感をどう顧客に伝えるかが課題とされてきたが、ジェームズ・ピータースが語るように、これらを満たす十分な情報がこの品川スタジオから発信される。

アマゾンのサイトに訪れた消費者は、これから述べるアマゾンの戦術が出揃ってくると、極めて近い将来、店舗に買い物に出かけたのと変わらない情報を入手できるようになるわけだ。

ただし、これだけではアマゾン・ファッションの実力を十分理解したとは言い難い。筆者は昨年の12月8日~11日まで渋谷モディと渋谷マルイで開催された「Amazon Holiday 2017」に足を運び、アマゾンのファッション戦略を観察した。

筆者提供

また同じタイミングにおいて、アメリカのサイト「アマゾン・ドット・コム」(以下、米サイト)の分析を行い、Amazon Fashionが日本でどのように展開されていくのかを予測した。

アメリカではAmazon Fashionスタジオが13年にニューヨーク州ブルックリンに建設されており、そこから送られてくる画像や動画によってサイトが構成されている。

やがて米サイトにおける展開が、日本の「アマゾン・シーオー・ジェーピー」(以下、日本サイト)でも行われることになるだろう。その大胆な展開と緻密な戦術が、日本のアパレル界に大きな地殻変動を引き起こすことになるのである。

 

ユニクロ×ZARA=アマゾンファッション

Amazon Holiday2017ポップアップストアはアメリカで年末商戦のビッグセールが開始される「サイバーマンデー」の一環として展開された。EC企業であるアマゾンがリアル店舗を展開するという意味でも興味深いイベントだ。

渋谷モディの3階に展開された「Amazon Fashion ホリディスタイル」を訪れると、その店舗スタイルからアマゾンの狙いを確信することができた。

アパレルの商品構成はベーシックなものを起点とするユニクロ型と、デザイン点数が多く、そのコーディネートで勝負するZARA型の融合。「ユニクロ×ZARA」が「アマゾン・ファッション」の定番と言えるだろう。

ベーシックカジュアルを豊富に取り揃え、そのコーディネートを積極的に提案しているのも特徴だ。

筆者提供

例えば「Beach Resort」のコーナーでは涼しげなワンピースや水着からサンダル、ハンモック、ビーチ用のリクライニングチェアも取りそろえたアパレルからアイテムまでトータルにコーディネートしている。

「Snow Resort」でもスノーウェア、ブーツやショルダーバッグなどまでコーディネート提案がなされている。

新生・ブルーバックス誕生!