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昭恵夫人の元秘書が、朝日新聞を通じて官邸に送った「メッセージ」

もし佐川さんみたいになったら…
※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまる・じゃぱん」の放送内容(2018年3月30日)の一部抜粋です。小谷実可子氏は番組パーソナリティ、鈴木純子氏はアシスタントです。

麻生財務相が「失言」を繰り返す理由

鈴木:森友学園をめぐる文書改ざん問題を、新聞各紙が連日報道していることについて、麻生太郎財務大臣が参院財政金融委員会で「森友の方がTPPより重大だと考えているのが、日本の新聞のレベル」と発言しました。

麻生氏は「TPP11は日本が主導して締結された」と評価し、「茂木大臣がゼロ泊4日でペルー(正しくはチリ)往復したが、日本の新聞には1行も載っていなかった」と指摘しました。

その上で麻生氏は「日本の新聞のレベルはこんなもんだなって、経済部のやつにボロカスに言った記憶がある」とも話しました。野党議員からは「言語道断だ」との批判が出ています。

佐藤:この発言、麻生さんは計算していると思いますよ。

小谷:えっ?

佐藤:むしろ、嫌われたいと思っている。こういうことを言ったら、顰蹙を買うに決まっていますから。

麻生さんって今、決してイメージがいい人ではないですよね。

小谷鈴木: …………。

佐藤:例えば、かつて首相を務めた森喜朗さん。私も非常に親しくて、このスタジオにも来てもらったことがあるんですけれど、森内閣の最後のころ、支持率がひとケタだったでしょ。

そうなると、ワイドショーで叩かれなくなったんですよね。週刊誌も扱わなくなった。なぜかというと、視聴者もみんな「森喜朗」と聞くと、チャンネルを変えてしまうわけです。それでは視聴率が取れないということで、森さんはマスコミに扱われなくなった。

ですからこの調子でいくと、麻生さんも安倍政権も、ワイドショーの攻撃を逃れられるかもしれませんよ。国民感情がいわば「生理的嫌悪」の域に達してしまうと、叩かれることもなくなるから。

 

「報じるべきニュース」とは何なのか?

小谷:でも、麻生さんは発言の内容が面白いですよね。チリとペルーを間違えちゃうところなんて、ワザとなんでしょうか?

佐藤:ワザとだったら矯正できますが、麻生さんは自然にやっていますからね。そこが麻生さんの強さなんですよ。

小谷:「次、何を間違えるのかな」って、私なんか少し楽しみになっちゃいますけどね。

佐藤:それなら当面、視聴率の心配はないかもしれませんね。ただ、あまりに続くと、だんだんみんなイヤになってくるんですよ。「もういい加減にしてくれ」と。

それから、「TPPより森友学園が大事なのか」ということは、結局は国民が判断するんですよね。例えば16年前、私が東京拘置所に入っていた2002年の夏は、テレビのニュースは連日、「帷子川に(アザラシの)タマちゃんが現れたかどうか」という話ばかりでした。

鈴木:ありましたね〜。特別に住民票まで作られて。

佐藤:じゃあ、タマちゃんと日本外交、あるいはタマちゃんと日本経済、どっちが大切なのかという話になる。でもそれは、国民がタマちゃんに関心があるのなら、メディアはそちらを取り上げるものですよ。

鈴木:極端な例ですけれど、思い出しますね。

佐藤:2002年の鈴木宗男疑惑のころは、世の中が暗過ぎた。だから、何でもいいから明るい話が欲しかったんじゃないかと思います。暗い話がずっと続くときこそ、普段は想像もしないような動物の話などが、連日大きなニュースとして報じられることがあります。

鈴木:去年はパンダの香香(シャンシャン)がちょっと救ってくれましたね。

佐藤:そうですね。今のような政治状況だと、もう諦めムードじゃないですか。佐川(宣寿・前国税庁長官)さんが国会の証人喚問に出たわけですが、「佐川さん、よくぞ言ってくれた! これでもう、全部わかりました。スッキリしました」と思った人、どれくらいいますかね?

鈴木:ほとんどいないでしょうね。

佐藤:でも、安倍首相はそう言っているわけです。「あとは国民が判断する」と。ということは、これから支持率は上がると見ているんでしょうね。

小谷:森友学園の問題は、次はどなたがキーパーソンとして出てくると思いますか?

佐藤:安倍昭恵夫人付きだった、経産官僚の谷査恵子さんだと思います。今はイタリアに赴任していますが、この谷さんが国会に出てくる局面になれば、政権に大激震が走るでしょう。これからは、彼女がいちばんの台風の目になると思います。

谷さんの言動を見ていると、ちょっと不思議なんですよ。報道を見て驚いたのですが、彼女は今、イタリアの日本大使館で一等書記官として働いていて、3月27日に在イタリア大使館が管轄を兼ねているマルタ島で、朝日新聞の記者と会っています。

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