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投資のプロが「ロボアド投資は有害である」と断言する理由

これでは単なるボロ・アドバイザーだ

何かが違う

近年、ファイナンス(金融)とテクノロジー(技術)を組み合わせた「フィンテック」という造語の下に、幾つかの商品、サービスが関心を集めている。

ビットコインに代表される、デジタル通貨に使われているブロック・チェーンのテクノロジーが代表的なものだが、コンピューター・プログラムが運用のアドバイスを行ったり、運用商品を組み合わせて投資してくれたりする、ロボット・アドバイザー、通称「ロボ・アド」も、「フィンテック」として括られることの多いサービスの一つだ。

しかし、筆者は、当初からロボ・アドの価値に関して、「何かがちがう」という違和感を持っている。

 

筆者自身の勤務先にもロボ・アドを使う商品があるし、ロボ・アドをビジネスに使おうとしている友人・知人が筆者は少なくない。

だが、考えてみた結果、ロボ・アドは、サービスとしての方向性を完全に間違えており、顧客・投資家は、これを言わば「ボロ・アドバイザー」なのだと考えて、決して利用しない方がいい商品・サービスだという結論に達した。

同僚・友人には申し訳ないのだが、今回は、その理由を正直に説明してみたい。

ロボ・アドの機能を、プログラムではなく、人間が提供するサービスで実現するのが、現在、対面営業型の証券会社などが力を入れている「ラップ運用」だ。

ラップ運用は、証券会社、信託銀行、投資顧問会社などの運用の専門家が、顧客の運用のニーズを聞いて、あらかじめ決められた運用手数料の下で、商品の選択と入れ替えを行うという建て付けのサービスだ。

普通の個人客向けのビジネスとしては、運用対象を投資信託とする、通称「ファンド・ラップ」が拡がりつつある。

しかし、この人間が行うラップ運用は、率直に言って個人が利用しない方がいいサービスだ。以下に理由を述べる。

「人間ラップ」がダメな7つの理由

(1)年率1%台後半から2%前後に及ぶラップサービスの手数料が高い。
(2)ラップの中で運用管理手数料が高めの商品が選ばれやすい。
(3)ラップを担当する専門家に株式投資などのタイミングを、運用パフォーマンスが改善できるほど有利に判断するスキルなど無い。
(4)ラップの担当者が顧客のニーズ(特に適切なリスク資産投資の大きさ)を判断することは難しく、その決定に当たって、自分達のビジネスの利害に影響されやすい。
(5)顧客はラップの中で、自分がどのような大きさ・内容のリスクを取っているのかを把握しにくい。
(6)顧客は、「自分に取って適切な大きさのリスク」をラップを通じて実現することが難しい。
(7)顧客は、そもそも、自分の資産を「幾ら」ラップに任せたらいいのかを判断することに困難がある。

要は、「ラップ」というサービスは、投資家である顧客から見て、手数料が高く付いて、信用できず、自分の資産の実態を把握しにくくて、自分にとって適切な状態に辿り着くことを難しくさせる、「使うことによって、よりマイナスの状態になる」可能性が大きな、とんでもないサービスなのだ。

マネーリテラシーのある人の多くは、この点をある程度理解しているように見受けられる。「ラップ」は利用しない方がいい、酷いサービスだ」と言う投資家やアドバイザーは少なくない。

また、金融庁の平成27事務年度版の「金融レポート」でも、ラップ運用の、主にコストの高さ(投資家にとっては、それだけで十分忌避する理由になるが)の問題が指摘されていた。

読者も、対面営業型の金融機関が提供するラップ運用が、利用者にとって合理的なものになりにくいことは、お感じになるのではないか。

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