金融・投資・マーケット

トランプによってもたらされた、米ハイテク企業「試練の時」

中国企業とも戦わなきゃいけないのに…

試練の時

3月、米国の株式市場はトランプ大統領の「貿易はよいことであり、勝利することもよい」とのツイートを受けて下落基調でスタートした。その後、株価は持ち直したが、期待されたほど買いが続かない。米中の貿易戦争に関する懸念は幾分か後退しているものの、株価は軟調だ。特に、IT関連のハイテク企業が多いナスダック総合指数の下げがきつい。

この背景には、フェイスブックの不正データ流出事件、UBERの自動運転車両が起こした死亡事故、トランプ政権によるアマゾンへの課税検討報道などがある。これまで、期待先行で株価が上昇したところに、ややアゲインストの風が吹き始めている。それに加えて、長期的な観点から、米国のIT企業が、成長著しい中国企業に勝てるかとの不安も意識され始めている。当面、米国のハイテク株には試練の時が来ていると認識すべきだ。

 

テクノロジーの革新は、新しい社会を作る。今後の世界経済にとって、IT関連のハイテク企業が生み出す次世代通信技術やフィンテック関連のアプリケーション、省人化技術などは成長をけん引する要因だ。新しいテクノロジーを活用することによって、理論上、企業は生産性を向上させることができる。また、余った労働力を他の分野にシフトし、人手不足などの解消が進むことも期待される。

スマートフォンの普及や、様々なモノにセンサーが搭載されてきたことを受けて、データ分析をビジネスにする取り組みも増えている。ビッグデータを統計的に分析することで、消費や社会心理の傾向、それに影響を与えるファクターを把握できると考えられるからだ。データ収集のためにも、先端技術を搭載したデバイスや、その稼働を支える半導体開発の重要性は高まっていく。

同時に、ハイテク機器の普及に伴って個人などのデータはネットワーク空間に流出し、意図せざる形で使われる不安がある。それが嫌なら、スマートフォンを使わなければよいというほど現在の状況は単純ではない。フェイスブックユーザーのデータが不正に英ケンブリッジ・アナリティカというコンサル企業に渡り、トランプ陣営に使われたことは、不安が顕在化した顕著な例だ。

テクノロジーの進歩が速かっただけに、社会全体でリスクを抑制する仕組みの整備が追い付いてこなかったことの裏返しといえる。その上、UBERの自動運転車両が初めての死亡事故を起こし、機械に判断のすべてを任してよいかという根本的な疑念も高まった。その結果、米ハイテク関連企業の株価は軟調に推移している。

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