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金融・投資・マーケット 政局 週刊現代

海外投資家の「アベ売り」で、あっという間に株安デフレの危機到来

好景気のはずだったのに…

永田町が森友問題に沸いているウラで、株の街・兜町ではまた別の「改ざん問題」が浮上している。好景気のはずのニッポンがほんとうはボロボロ? もう隠しきれなくなってきた日本経済の真実――。

巨大投資家が続々と空売り

学校法人「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書に改ざんがあったことが明らかになって以降、日本株の下落が止まらない。2月末には株価2万2000円台だったのが、3月19日にはあっけなく2万1500円割れ。

株価が一日に100円以上下げるシーンが日に日に増えるなど、マーケットはさながら暴落劇の様相を呈してきた。

3月20日には、あるデータをめぐって、市場関係者たちが震撼する事態が勃発した。

JPモルガン証券、メリルリンチ・インターナショナル、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券……。

そんな世界に名だたる巨大機関投資家たちが、日経平均株価指数や東証株価指数(TOPIX)の動きに連動するETF(上場投資信託)の空売りを大きく積み上げていることが発覚したのだ。

「巨大投資家たちは表立っては言わないものの、日本株の『暴落』にベット(賭け)したほうが勝てると考え始めた。同じく野村證券が、日本株全体の動きと連動する日本取引所グループ株の空売り残高を増やしていることも判明した」(外資系ファンドマネジャー)

こうした事態を受けて、黒田東彦総裁率いる日本銀行が巨額の日本株買いに走り、株価下支えに必死になっていることはあまり知られていない。

日銀が動き出したのは、政府が決裁文書の改ざんを認めた直後の3月14日。この日は取引開始から日経平均株価が前日比で200円以上も下げて始まったところ、日銀はいきなり735億円を日本株買いに投入。

海外投資家たちが日本売りを加速させようとした矢先、巨額の「ホワイトデー砲」をぶっ放すことで牽制して見せたのだ。

「日銀は翌15日も同額の買いを断行。週が明けた3月19日、20日にも735億円ずつ日本株買いを実行して、1週間で2940億円もの巨額マネーを投じた」(日銀関係者)

しかし、そんな黒田日銀の努力もむなしく、日本株は下げ止まる気配すらない。むしろ日本売りの暴風雨は日ごとに勢いを増すばかりで、すでに一部の市場関係者は「2万円割れ」の警戒モードに入った。

 

投資家たちがかくも一斉に日本売りに走っているのは、一時的な政局不安を懸念しているから「だけ」ではない。

安倍内閣は株価連動内閣だけに、改ざん問題が落ち着けば株価はもとに戻る――。もはやそんな楽観が通用するような段階ではなくなってきている。

「仮に改ざん問題で安倍政権が倒れようが、日本経済が回復基調を保てていれば株価は持ちこたえられます。それなのにいま株価が下げ止まらないのは、日本株売買の最大プレーヤーである海外投資家がそう考えていないから。

これまで安倍政権は日本経済の実態を誇張して見せてきましたが、今回の公文書改ざん問題で政権のトリックの化けの皮が剥がれ落ち、もうごまかしが利かなくなると考え出した。

多くの人が日本経済のリアルな状態に気が付く前に、先回りして売り抜けてしまおうとしているわけです」(シグマ・キャピタルでチーフエコノミストを務める田代秀敏氏)

実際、'12年12月にアベノミクスが始まってから5年が経過したいま、その限界が露呈し始めている。安倍政権は「経済は好転している」と強調するが、足元では日本経済のいたるところで赤信号が点灯してきた。

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