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企業・経営

「商品を増やせば売上は上がる」は才能のない経営者の思い込みだった

販売の極意を教えよう

「どうすれば店の売り上げは上がるのか」は、飲食店や小売店の経営者の永遠の悩みだ。顧客の数を増やすために、ついつい商品・メニューの数を増やすという選択肢を採りがちだが、セブンイレブン最年少取締役、ampmジャパン社長、ファミリーマート商品本部長を歴任し、大ヒット商品を作り続けてきた本多利範氏によると、それは大きな間違いだという。彼が各社の販売責任者に着任した際に徹底してきたことは「商品数」を減らすこと。最新作『売れる化』で明かされた、驚きの「販売の極意」とは――。

商品アイテムを増やすことのデメリット

多くの飲食店経営者や小売業者が勘違いしがちなことがあります。それは、「メニューやアイテム数を増やせば、売上げが上がる」ということでしょう。

断言します。それは思い込みです。

実は、30年間以上も小売業界で働いてきた私でさえ、ある時期まで「可能な限り商品のアイテム数を増やそう」としてきました。もちろん厳選した品ではありますが、できる限り品数を置きたいと試行錯誤してきたのです。

その背景にはやはり、「アイテム数が多ければ多いほど、お客様に喜んでもらえるはずだ」という思い込みがありました。

 

しかしその結果どうなったかというと、売上げがどんどん落ちていったのです。飲食店経営でも、売上を伸ばそうとして、どんどんメニューを増やそうとして、かえって廃れていくということはよくあることです。

その不思議な現象はどうして起きてしまうのでしょうか。  

コンビニ業界において、アイテム数を増やすことのデメリットは、大きく二つあります。

一つ目のデメリットは、例えばフードなどのデイリー商品のアイテムを増やしすぎると、それをつくる工場が疲弊するという点です。

私たちはかつて弁当やサンドイッチなどのデイリー商品を200アイテムほど登録していましたが、その製造をこなすために工場での労力や手間がかかりすぎ、一つ一つの商品にこだわる余裕を失っていきました。

オーナーシェフが1人で切り盛りしているような飲食店経営であれば、メニューが増えることでなおさら労力や手間が増え、負荷は計り知れないものになっていきます。

二つ目のデメリットは、「売れ筋商品」も「死筋商品」も混合した品揃えになり、雑然とした売り場(飲食店であればメニュー)になってしまうことです。

消費者に多様な選択肢から選んでもらうというのは、一見良いことのように思えますが、実はお客様に判断を丸投げすることにも繋がります。さらに、商品アイテム数やメニューの選択肢を増やす行為は、「数打てば当たるだろう」という大雑把なマーチャンダイジングに陥ります。

そのことに気づいた私たちは、ようやくお客様のニーズに寄り添い、コンビニの商品を絞り込む方向性に舵を切りました。 

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