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格差・貧困 ライフ

女子は30代以降と結婚後は「男ウケ」よりも「女ウケ」が大事

A子とB美の複雑な感情【27】

元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第14試合「男ウケVS女ウケ」対決のAサイド。

今回のヒロインは、生まれついての男ウケ体質女子。若い頃は美味しい目に合っていたけど、結婚後風向きが変わり……。

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男ウケと女ウケのあいだ

いかにも男ウケを狙ったファッションやキャラ作りというのは得てして他の女からの評判を落とすが、男に全くモテない人生というのはそれはそれで他の女からバカにされるので、私たち、男ウケをそんなに狙っていないふりをして、男ウケを狙う、というものすごく手の込んだことをしながら生きていかなくてはいけない。そうです、女は面倒臭いんです。

AV嬢時代の一番の悩みは、なんでこんなにダサさを詰め込んでダサさを叫ぶようなダサい衣装を着なくてはいけないのか、ということだったが、男がムラっとくる格好、あるいは男が「お嫁さんにしたい♡」と思う格好というのは、申し合わせたように女ウケが悪い。

つまり私たちはニット1枚、パンプス1足買うたびに、自分は今回男ウケをとって女としての尊厳を失うか、女ウケをとって殿方とのご縁を失うか、ものすごくヒリヒリした選択を迫られている、ということになる。

渡辺直美photo by gettyimages

少なくとも私のように、安めぐみほど男ウケがいいわけでも、渡辺直美ほど女ウケがいいわけでもない、ごく普通のパンピーはそうだ。男にモテなきゃ人生始まらない、と開き直って白いニットなんか身につけた次の日、男ウケを気にするあまり女なのに変声期を経たみたいな声になっている友人を心底バカにする。そうやってモテと尊厳の狭間で揺れてブレて人生は進んでいく。

そしてなんだかんだどっちにブレすぎることもなく、どちらも多少は妥協して、或いは時々プチギレして、自分なりの折衷案を持ちつつ、なるべくどちらも失いすぎないように、うまいこと泳ぐすべを学んでいく。

 

それは、男並みに受験勉強とかしながら、化粧や女子トークやお料理や脱毛も放棄しなかった私たち現代女の宿命のようなものである。そしてマリリン・モンローよりブスで、土井たか子ほど志高くもなかった私たちパンピーの引き受けるべき運命でもある。男に愛されなかったら生きていくのすら面倒だし、かといって女友達に見放されたら生きていても退屈だ。

ただ、当然、どちらにより重きを置くか、というのは人によって違うし、限りなく左寄りの中間、という人もいれば知らず知らずのうちに右のウエイトが大きくなっていた、という人もいる。そして彼女は、限りなく左寄りの中間として生きてきた半生を、最近やや懐疑的に振り返る。

新生・ブルーバックス誕生!